平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2047

専門分類

7

研究課題名

リスクの多面性を考慮した安全性評価の設計

フリガナ

代表者氏名

ヤナギモト タケミ

柳本 武美

ローマ字

Yanagimoto Takemi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

14 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

リスクの評価に関する研究のニーズが高まりつつある。この場合に単純にリスクを低減させることを狙
うよりも、計量的・総合的に評価するために、個人の熱意に基づくよりも社会のシステム設計として追
求することが求められる。この面での近年の着実な進展は、一方で新しい問題を明瞭にしている。この
研究で特に対象とするのは多面性である。原因と単一の害作用を直結した考察には限界がある。原因と
作用の関係をより複相的に把えた研究が求められる。
 より精密で多面的な捉え方をした計量的な評価方法が求められている。計量評価は現実には、ハザ
ードを認識するための手段として用いられる。その方向は2分類されて、生理作用として把えるいわ
ゆる基礎研究と、社会での利益を加味する安全学の立場である。後者の典型例がリスク・コミュニケ
ーションに見られる。一つの科学的知見が行政判断と、市民社会で異なる把え方がされる。一見する
と望小特性としてのリスクアセスメントが統計学が貢献できそうに見えるが、実はそうではない。し
かも強調すべきことは、多次元モデルの適用は素人考えでは取り組めない。
 リスクに関する異なるステークホルダーが共有できる証拠を、社会への公表の視点から研究した。
特に我が国では、現場の研究者に手に負えない責任を課しそのために結局リスク隠しに堕してしまう
構図を明確にした。その一例として、森永ヒ素ミルク事件を例にして初発例の報告についての研究を
行った。また、医歯学共用試験のグループとOSCEデータの評価について、証拠のコミュニケーショ
ンの視点から議論を加え、提案を行った。
 本研究の過程において、リスク解析戦略センターに本研究のテーマの側面から協力した。また本研
究及び中尾らの生物統計学関連の共同研究は、2006年度には共同研究の重点型研究に指定された。よ
り集中的な研究が求められている。本研究を含め一連の研究が共同利用委員会に一定の評価を得た結
果として、2006年度共同研究の重点型研究の世話人に指名された。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文
Yanagimoto,T.and Ohnishi,T.(2005).Extensions of the conjugate prior through the
Kullback-Leibler separators.J.Mult.Anal.,92,116-133.
山本英二(2005)。EpiInfo3.3の日本語化に関する研究。H16厚生労働省科学研究費補助金新興・再興感
染症研究事業報告書
Tsuchiya,Nakao,et al(2005).Association between endometriosis and genetic polymorphisms of the
estradiol-synthesizingenzyme genes HSD17B1 and CYP19.Hum.Reprod.,20,974-978.
学会発表
柳本武美。「証拠の信頼性から見た初発例」,研究会・証拠のコミュニケーション,2005年9月
柳本武美。「頻度論者によるBayes統計の利用」,連合統計大会,2005年9月
柳本武美。「安全性の計量評価の進展そして飛躍への期待」,リスク解析戦略研究センター開所記念講演
会,2005年11月
柳本武美。「証拠の信頼性:作り込む・使う」,第1回横幹連合コンファレンス,2005年11月。
大西俊郎,柳本武美。"Hybrid Bayesian approach to estimation of common slope",国際シンポジュウ
ム「バイオ統計学:最前線とそれを支える理論の展開」2005年2月。
藤井良宜"Estimation for departure from Hardy-Weinberg equilibrium",国際シンポジュウム「バイ
オ統計学:最前線とそれを支える理論の展開」2005年2月。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1)研究会「証拠のコミュニケーション」
2005年9月8日
於 統計数理研究所・第2セミナー室
参加:12人
2)共同研究研究集会「生物統計学の展開を探る」
2006年3月3日
於 統計数理研究所・講堂
参加:40人

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊庭 幸人

統計数理研究所

大瀧 慈

広島大学

大西 俊郎

統計数理研究所

河口 明人

北海道大学

佐藤 俊哉

京都大学

大門 貴志

静岡県立大学

竹内 正弘

北里大学

田崎 武信

塩野義製薬(株)

津谷 喜一郎

東京大学

比江島 欣慎

東京医療保健大学

藤井 良宣

宮崎大学

味村 良雄

神戸薬科大学

山本 英二

岡山理科大学