平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2057

専門分類

8

研究課題名

食糧法下における量販店のコメマーケティング戦略と消費者の購買行動に関する経済分析

フリガナ

代表者氏名

フクダ ススム

福田 晋

ローマ字

Susumu Fukuda

所属機関

九州大学

所属部局

大学院農学研究院

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究背景と目的
1995年の食糧法の施行は、コメ流通の自由化を著しく促し、コメの産地・商品間価格差の拡大、計画
外流通の増大、コメ小売における量販店のシェア拡大をもたらした。一方、2001年のJAS法改正によ
り、コメ小売における産地、品種等の表示が義務付けられ、小売店頭で商品内容の虚偽表示を行ってい
た店舗が摘発されるなどコメの表示制度も大幅に強化された。
 そのような中で、良質米産地でない九州のコメ産地は商品としての位置付けの発見や価格下落対応に
追われている。そしてそれは、消費者がどのようなコメを要求しているかというコメに対する消費者ニ
ーズの的確な把握が求められていることを示唆している。従来のコメ需要分析は、家計調査年報を利用
した需要関数の推計にとどまっており、実際の小売ベースの商品構成に対する需要分析は皆無といって
よい。本研究では、コメ小売の主流となりつつある量販店のマーケティング戦略を踏まえた上で、聞き
取り調査と店頭でのコメ販売データを収集して、消費者のコメ購買行動を明らかにすることを目的とす
る。
研究の成果
 調査の対象としたA社は4つの地区に店舗展開しており、ナショナルブランドを取り扱う大手全国卸
業者と、付加価値米を中心に地元の商品を取り扱う地元業者の2つの卸売業者を抱えるという戦略を持
っている。この卸対応戦略は、全国的に有名でしかも特売セールで顧客をひきつけることが可能な商品
供給と地元商品を中心にして減農薬や掛け干し米といった高付加価値米の商品供給であり、前者は価格
弾力性の大きな商品で、後者は所得弾力性の高い商品である。
 全国有名産地、ブランドの商品は、確実な需要が望める。しかしながら一方で、高付加価値米の需要
も高まっており、量販店としてもそれらの動向を等閑視しているわけではない。つまり、九州内の中山
間地を主体とした良質米産地の掛け干し米、減農薬米の商品作りを卸側に提案し、小売提案型商品開発
を行うという戦略をとっている。
 A社の4地区のすべての店舗のコメ小売集計データの分析から以下のような諸点が明らかとなった。
?販売単位は、kg当り単価が相対的に割高となる小袋(2kg,5kg)入りが売れ筋となってお
り、少量多頻度販売が定着している。
?kg当り販売単価は、300円から800円までのばらつきがあり、440〜460円前後が平均的単価で
かつ値ごろ感となっている。
?必ずしも単価の安いものが売れ筋とっているわけではなく、取扱店舗の多いブランド山地、銘柄の
商品アイテムが売れ筋となっている。しかし、その一方で有機米、減農薬米、無洗米といったいわ
ゆる地域特産高付加価値米が一定の販売シェアを持っており、消費者ニーズの多様化を示してい
る。
?以上の販売結果から、多様化した消費者ニーズを細かく分析した上でのマーケティング戦略をとる
ことで、銘柄産地でなくとも十分販売対応が可能であると指摘できる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

2003年度「日本農業市場学会大会」個別研究報告予定。滋賀県立大学、2003.7.5
2003年度「九州農業経済学会」大会シンポジウム報告予定、九州大学、2003.10.11

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

森高 正博

九州大学大学院

豊 智行

九州大学

吉本 敦

統計数理研究所