平成182006)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

18−共研−1024

専門分類

5

研究課題名

生態系の空間パターン形成

フリガナ

代表者氏名

タイナカ ケイイチ

泰中 啓一

ローマ字

TAINAKA KEIICHI

所属機関

静岡大学

所属部局

創造科学技術大学院

職  名

教授

所在地

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研究目的と成果(経過)の概要

生物は一見すると無駄とか冗長性と思えるような形質(最適戦略と思えないような形質)を様々に進化させている。近年、DNAとか生体内の冗長性(リダンダンシー)には多くの研究がある。しかし我々は生態系全体の視点から個々の生物のリダンダンシーを研究し、その重要性を指摘してきた。一見すると(短期的には)最適とはいえない形質であっても、長期的なスパンでは、また生態系の中では最適となる見方である。リダンダンシーを環境変動下での「負けるが勝ち」の生き残り戦略として説明する。たとえ短期的にはゲームに負けても長期的には勝つような戦略である。本研究では、主として格子ロトカボルテラ法というモンテカルロ法を使った。

 具体的には、オランウータン雄の2型を研究した。雄の2型としては、成熟雄と成長抑制雄が知られている。成熟雄オラウータンは   
   ・平均体重 (約90Kg:雌の2倍以上)
   ・フランジと呼ばれる幅広の頬を持つ
他方、成長抑制雄はメスと同じくらいの体重で、約40Kgである(フランジなし)。
本来成長期にあるはずの若い雄オラウータンが、成長抑制されている理由として、従来は病的な原因で未発達になるからだと思われてきた。しかし、本研究ではハトタカゲームを使い、最適戦略として説明した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

著書
泰中啓一・吉村仁著『生き残る生物、絶滅する生物』日本実業出版2007年5月発行

論文(査読付き論文)
Kei-ichi Tainaka, Jin Yoshimura & Michael L. Rosenzweig,
Do male orangutans play a hawk-dove game?
Evolutionary Ecology Research, in press (2007).

Tatsuya Togashi, Masaru Nagisa, Tatsuo Miyazaki, Jin Yoshimura, Kei-ichi
Tainaka, John L. Bartelt and Paul Alan Cox,
Effects of gamete behavior and density on fertilization success
in marine green algae: insights from three-dimensional numerical simulations",
Aquatic Ecology, in press (2007).

Yukio Sakisaka, Kei-ichi Tainaka, Nobuaki Sugimine, Jin Yoshimura, Taro Hayashi,
Kazuyuki Aihara, Tatsuya Togashi and Tatsuo Miyazaki:
A power law for extinction process in multiple contact process.
J. Phys. Soc. Japan. Vol. 76 (2007) No.2, 023101 (4 pages).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所