平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−14

専門分類

1

研究課題名

非線形構造を持つ多次元データの解析法の数理的研究

フリガナ

代表者氏名

ミズタ マサヒロ

水田 正弘

ローマ字

所属機関

北海道大学

所属部局

大学院工学研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多次元データ解析の理論的基礎として線形構造の解析があり,数多くの成果が上げられている。しかし,線形構造を仮定できないデータも少なくない。例えば角度データや特定の曲面の近くに分布していると考えられるデータでは,それらの特性を利用する方が有効である。そこで本研究では,角度データの解析等を中心に非線形構造を持つデータの解析法の開発を目的とする。


多次元データ解析の理論的基礎として線形構造の解析があり,数多くの成果が上げられている。しかし,線形構造を仮定できないデータも少なくない。例えば角度データや特定の曲面の近くに分布していると考えられるデータでは,それらの特性を利用する方が有効である。そこで本共同研究では,非線形構造を持つデータの解析法の開発を目的とした。
これまでの理論的成果を基に,馬場助教授と水田助教授は互いに連絡を密にしながら研究を進めた。昨年度に引続きPrincipal Curves(1989;Hastie,T.& Stuetzle,W.)に関する研究を行うとともに,新たにPrincipal Curvesの概念を拡張したPrincipal Setsの理論構築を検討した。
Principal Curvesはコンピュータ指向の手法であり,計算時間の効率化などに多くの課題が残っている。そのうち,Principal Curvesを曲線当てはめに利用する場合の効率的なアルゴリズムの開発とその計算量の評価を行った。
多次元データに曲線を当てはめるためにはPrincipal Curvesが有効であるが,データが必ずしも単一の曲線で表現できない構造を潜在的に有する場合には適切な結果が得られない。そこで,当てはめる対象を「曲線」から拡張することが考えられる。当てはめる「曲線」を「曲面」に拡張したPrincipal Surfacesは既に提案されているが,本研究では,さらに「曲面」を空間内の「集合」に拡張したPrincipal Setsの理論の構築を試みた。Principal Setsによって,データに枝分かれのある曲線を当てはめることが可能になった。
また,本研究の成果を利用した曲線当てはめが数量化III類の解の解釈に有効であることを見いだした。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・水田正弘,馬場康維,Principal Curvesについて,第58回日本統計学会 1990年7月26日。
・水田正弘,馬場康維,枝分かれがある場合の曲線あてはめ,第7回分類研研究報告会
1990年12月25日。
・水田正弘,Shape Polynomialsについて。
第59回 日本統計学会(発表予定)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

多次元データが有する可能性のある非線形構造は非常に多様であるが,本研究では,角度として表現できる構造および曲面の近くに分布していると仮定できる構造を有するデータを中心に扱う。特に,平成元年度の共同研究(1−共−10)により作成したprincipal curvesの概念に基づいた曲線のあてはめに関するソフトウェアの改良と,それによる数量化およびデータ構造の時間的変化の解析への応用を検討する。
統数研の馬場助教授は従来から角度データの解析についての研究成果があり,その基礎のもとに種々のデータ解析法の研究・開発を行ってきた。また北海道大学の水田助教授は曲面的構造を解析する方法を研究・改良している。そこで両者の共同研究によって非線形構造を統一的に解析するための基礎理論の構築を目指すことができる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

馬場 康維

統計数理研究所