平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2035

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

グローバル化する環境政治

フリガナ

代表者氏名

カタノ ヨウヘイ

片野 洋平

ローマ字

KATANO YOHEI

所属機関

鳥取大学

所属部局

農学部生物資源環境学科

職  名

助教

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

気候変動問題等の環境問題は、一部諸国のみでは解決困難なグローバルな問題である。それゆえ、経済成長第一からの政策転換、国家間での政策収斂といった形で、環境問題に対応する政治のあり方も変化してきている。そしてこうした政治対応の変化をもたらす経路の1つに、世論や市民運動が想定できよう。省エネ商品やサービスの著しい増加や排出権取引や環境税導入の検討といった、官民問わずの環境問題への対応の積極化は、グローバル化の度合いを強める市民運動からの働きかけ、より一般的には市民社会の中での環境問題に対する意識の高まりを抜きにしては考えにくい。
しかし、社会学分野の社会運動や市民活動の研究は、その発生メカニズムや組織的形態などに主な焦点がおかれ、運動行為の影響や社会での帰結という課題に取り組むことは少なかった。企業行動や政策決定過程に対し、どれほどの影響力を世論や市民運動の活動等が持ちえるのかについて、系統だった先行研究は少ない。他方、政府や国際機関に対するNGO等の影響力を探った政治学分野の先行研究の多くは事例研究に依存してきたことから、一般的な知見を引き出すまでには至っていない。
また、世論形成の上で重要な役割を持つ事が容易に想定される、メディアの役割という面に関しては、これまで一般論としての知見は相当の蓄積があるわけだが、環境問題やそれに関係する市民運動に特化すると、有意義で総合的な先行研究が多いとは言えない。そのため、本研究では、特に環境問題、そして市民運動の活動や影響とそれに関する世論の理解や解釈をつなぐ接点としての、メディアの役割に注目することにした。
1年目という事もあり、具体的なトピック、理論的枠組については様々な角度から検討されたが、最終的には初歩段階にて参加者の間で明確な合意の形成は難しいと判断することになる。そのため、テーマや背後の理論を共通化させるよりは、まずは手法を新聞記事のテキストマイニングと統一し、その後の分析過程から得られる知見を発展させていく、という考え方を採用した。具体的には、環境運動や保護団体、また環境政策や市民の社会参加意識の変遷といった関連するテーマを自由に選択し、その後それらにつき1970年代以降に日本のいくつかの主要新聞にて掲載された記事を集め、テキストマイニングにかける、という流れで作業した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

片野洋平・藤田泰昌・二階堂晃祐・松本渉 (2010) 「グローバル化する環境政治」 統計数理研究所研究リポート253

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1. 2009年8月10日(月)午後2時から 統計数理研究所共同利用研究室 3名参加
2009年度の申請書類に基づき、各自の大まかな研究テーマを検討

2. 2009年12月24日(木)午後4時から 上智大学にて 3名参加
 新聞記事のサンプルに基づく予備的分析の発表、検討

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

二階堂 晃祐

シカゴ大学

藤田 泰昌 

統計数理研究所

松本 渉

統計数理研究所