平成202008)年度 若手短期集中型研究実施報告書

 

課題番号

20−共研−3001

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

2

研究課題名

小型浮魚類の回遊行動のモデリングとアルゴリズム

フリガナ

代表者氏名

オクニシ タケシ

奥西 武

ローマ字

Takeshi OKUNISHI

所属機関

水産総合研究センター 中央水産研究所

所属部局

海洋データ解析センター 海洋モデル研究グループ

職  名

任期付研究員

配分経費

研究費

40千円

旅 費

269千円

研究参加者数

7 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、気候変動がマイワシ、カタクチイワシなどの小型浮魚類の資源量に大きな影響を与えていることが報告されている。小型浮魚類の資源量は、水温、餌料環境、捕食圧、漁獲圧など時空間的に大きく変動する要因によって支配されている。そのため、資源量予測ために、小型浮魚類の時空間的な分布変動を再現できるモデルの開発が望まれている。Okunishi et al. (2009) はマイワシの回遊モデルを開発し、モデル上の魚群の分布水温は、実際の漁場水温と整合的であることを示した。Okunishi et al (2009)のモデルにおいて、マイワシの行動のルールは、河川の魚類生態系の概念を取り入れ、生長が最大となる方向に遊泳すると仮定しており、その遊泳方向は水温と餌密度の分布より最適な生息域の方向を見積もっている。しかし、海洋の小型浮魚の遊泳行動についは、明確な見解は少ない。そこで、本研究では、モデル上で表現されている魚群行動をサンプリングして再解析することによって、現場データから遊泳(回遊)行動のメカニズムの解明が可能であるか、またそのために必要なる観測データの量、質を明確にすることを目的とした。
若手短期集中型研究の実施期間において、共同研究者と研究方法について議論を行い、モデルの遊泳行動の解析を実施した。その結果、現場観測によって、遊泳行動のメカニズムを明らかにするには、生後約5ヵ月の7月に初めて北上回遊を経験する幼魚である個体の行動解析が最も妥当であると推定した。また、この時期のモデルデータをサンプリングして、ニューラルネットワークを用いて、遊泳行動のパターンを解析した結果、北上回遊時における最適水温を約1.5℃の誤差範囲で推定できること、行動が周囲の餌密度に依存していることを明示できることが明らかになった。現段階では、本研究の成果は未発表であるが、今後、このテーマでの研究を継続して、学会および学術論文などにて、研究成果を発表する予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

該当なし。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

該当なし。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石垣 司

統計数理研究所

伊藤 進一

水産総合研究センター 東北区水産研究所

稲津 大祐

統計数理研究所

樋口 知之

統計数理研究所

甫喜本 司

東京大学

山中 康裕

北海道大学