平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2061

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

2

研究課題名

統計解析システムにおけるライブラリの共有化

フリガナ

代表者氏名

フジワラ タケシ

藤原 丈史

ローマ字

FUJIWARA TAKESHI

所属機関

東京情報大学

所属部局

総合情報学部 環境情報学科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

49千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究の目的は,統計解析システム間におけるライブラリの共有化を実現することにより,統計ソフトウェア分野において資源の効率化を図ることである.現在の統計解析システムではライブラリはそれぞれのシステムごとに独立に実装されており,異なるシステムのライブラリを利用することは非常に困難である.まったく同じ統計解析手法のアルゴリズムが,それぞれ異なる実装として存在するのはコンピュータ資源,そして利用者の観点からも無駄である.したがって,ライブラリを共有化することでシステム間の利用における垣根を下げることは,統計学の発展においても特に有用である.
 統計解析システムのライブラリの実装方法については大きく分けて3つのレベルがある.統計解析システムでの一般的な解析指示などのプログラムで利用する統計解析言語で書かれたライブラリ,他のアプリケーションからも利用できるような外部インタフェースをもつ形で実装された共有ライブラリ(Dynamic Link Library または Shared Library),そして統計解析システム自体の実装に組み込まれたネイティブライブラリである.
 これらライブラリのレベルごとに本研究は共有化の設計,実装を行った.これまでには,統計解析言語ライブラリについてはトランスレータの開発によって実現し,共有ライブラリについてはシステム間のインタフェースとしてラッパー関数を実装し共有化を行った.ネイティブライブラリの共有化についてはもっとも実現が困難であり,かつ,前提条件としてソースコードが公開されている統計解析システムに限られる.今回の研究では,本研究代表者が開発メンバとして参加している汎用統計解析システム Jasp と統計解析環境である XploRe について実装を行った.結果としては,自動化することは難しく,手作業でトランスレートを行うことが必要であったが共有化の方向性としては実現可能である.今後は自動化による共有化を実現することにより,さらなるシステム間へ適用範囲を拡大することが望ましいといえる.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1) Kobayashi, I., Fujiwara, T., Nakano, J., Yamamoto, Y. (2003), Extensibilities of a Java-based statistical system, Journal of the Japanese Society of Computational Statistics, Vol.15, No.2, 183-192.
(2) Nakano, J., Fujiwara, T., Yamamoto, Y. and Kobayashi, I. (2000), A statistical package based on pnuts, COMPSTAT2000 Proceedings in Computational Statistics, 361-366, Physica-Verlag.
(3) Nakano, J., Yamamoto, Y. and Honda, K. (2008), Programming statistical data visualization in the Java language, In Chen, C-H., Hardle, W. and Unwin, A. (eds.), Handbook of Data Visualization, 726-756, Heidelberg: Springer.
(4) 藤原丈史, 山本由和, 中野純司 (2008), 統計解析システム Jasp における既存ライブラリの利用, 日本計算機統計学会第22回シンポジウム論文集, 139-142.
(5) Yoshikazu Yamamoto, Junji Nakano, Takeshi Fujiwara (Accepted), Parallel computing in the statistical system Jasp, Computational Statistics, Springer.
(6) 藤原丈史, 山本由和, 中野純司 (2010), 統計ライブラリのシステム間での利用とその実装, 日本計算機統計学会第24回シンポジウム論文集, 167-170.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(グループ内での研究打ち合わせは行ったが,研究会としては開催していない)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

中野 純司

統計数理研究所

南 弘征

北海道大学