平成142002)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

14−共研−11

専門分類

8

研究課題名

論述文の文章構造の研究−論述文を支える文型の確定を目指して−

フリガナ

代表者氏名

ムラタ ミノリ

村田 年

ローマ字

 MURATA Minori

所属機関

慶應義塾大学

所属部局

国際センター

職  名

助教授

所在地

TEL

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研究目的と成果の概要

専門日本語教育における学習者にとって,論文に代表される論述文の論理構造の
理解は不可欠であり,その理解には機能語句が指標として役立つと考えられる。
 本研究の目的は、主に論述文を代表とする論文を分析対象とし、分野を超えた論
文に共通する機能語句群を明らかにし、最終的には論述文に代表される文章の論理
構造を明示する機能語句群を確定することである。今年度は、社会科学分野の中か
ら経済学分野の論文を分析対象とし、従来の研究で用いてきた多変量解析の手法と
統計学的モデルを用いて分析を行い、従来の研究結果と比較対照を行った。本研究
では、同一ジャンルに分類された文章には共通した特徴パターンがあるという仮定
のもとに、具体的にどのような表現形式によって文章のジャンルが分類され得るの
かということを、機能語句としての接続語句と助詞相当句を指標として、異なる7
つの文章資料(計151編:物理学論文,工学論文,文学論文,経済学論文,経済学
教科書,四大紙社説,近代文学作品)を対象に、多変量解析の一手法である正準判
別分析のステップワイズ法を用いて分析した。その結果、選択された12語句項目に
よって、7つのジャンルの文章資料が正判別率77%という高率で判別が可能である
ことが検証された。
 また、上記の結果により、経済学論文という論理構造が明示的な文章における機
能語句が、同じく論理構造が明示的だと考えられる、物理学、工学、文学等の分野
の論文とどの程度共通し、また、小説等の論理構造が非明示的だと考えられる文章
における機能語句とどの程度異なるのかを明らかにした。その上で、論文(論述文)
に必要不可欠な機能語句群の雛型を試みに選定した。
〈成果〉
村田年(2003)「文章と文型5?文学論文における文型の使用頻度調査?」
『日本語と日本語教育』vol.31,pp1-28
村田年(2002)「文章のジャンルと機能語句の使用傾向?異なる分野の論文資料を中
心に?」『第30回日本行動計量学会予稿集』pp188-191