平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2059

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

2

研究課題名

半導体センサーによる化学物質の分類と構造との関連性の検証

フリガナ

代表者氏名

フジオカ コウキ

藤岡 宏樹

ローマ字

Fujioka Kouki

所属機関

東京慈恵会医科大学

所属部局

DNA医学研究所・分子細胞生物学研究部

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

2千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究は、半導体センサーを搭載した人工鼻(FF-2A)による匂いの測定結果をもとに、異なるサンプルを精度良く判別するアルゴリズムを開発、医療応用や食品産業での応用法を開発することを目的とする。本研究の遂行によって、サンプルの判別精度を向上し、疾病の早期発見に役立つ匂い評価法の開発、客観的な匂い評価法を使った食品・飲料への香りの付加価値や品質管理の導入につなげる。
 本研究で使用する人工鼻FF-2Aは、10個の異なる酸化半導体センサーを搭載しており、センサーの電気抵抗値を測定することで、匂いの絶対値化を可能にしている。揮発性成分の検出感度は、0.05ppb以上であり多種類の匂い分子を同時に検出することができる。
 しかしながら、この装置はデフォルトで9種類の悪臭基準ガス(硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタン、トルエン、ヘキサン、酢酸ブチル、トリメチルアミン、ブチルアルデヒド、及びプロピオン酸)との比較・強度計算ができるのみであるため、適用範囲が限られてしまう。
 そこで本研究では、悪臭以外の匂いを使って基準化を行うことで、匂い比較の適用範囲を広げることを目的とする。具体的には、(1)匂いが既知である化学物質の構造と半導体の電気抵抗値との関連性の検討、(2)ヒトが感じる匂い分類への近似化アルゴリズムの検討、(3)同アルゴリズムを基に、事前に測定した約50種類の異なる匂い成分を分類する。
 本年度は、匂いの判別精度向上のためのアルゴリズムの開発、及び事前に測定していた約50種類の匂い既知物質を用いて、ヒトの感覚に近い香りの表現方法の開発に取組んだ。
 前者では、水分などの干渉物質を抑え、統計的標準化法を用いることによって、匂いの強さが異なる物質でも、判別精度が向上するようになることを明らかにした(Fujioka K, Shimizu N, et al. Sensors, 2013 )。後者では、類似度解析ソフトASmell2と、匂い既知の化学物質を多種類用いることで、香りの表現が豊かになり、コーヒーの香りをよりヒトにわかりやすい形で表現できることを明らかにしている(藤岡ら、日本味と匂学会誌、2013)。一方、構造とセンサー値との関連性については、現在も調査中であり、今後、検討を進めて、ヒトの感覚への近似化精度を高めていきたい。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表
1. 藤岡宏樹,冨澤康子,清水信夫,鎌田美乃里,池田惠一,山岡龍平,山本健二,馬目佳信. ワインの香りサンプルを学習させた人工鼻によるコーヒーの香り分析.日本味と匂学会誌 2013, 20(3), 407-410.

2. Fujioka, K.; Shimizu, N.; Manome, Y.; Ikeda, K.; Yamamoto, K.; Tomizawa, Y. Discrimination Method of the Volatiles from Fresh Mushrooms by an Electronic Nose Using a Trapping System and Statistical Standardization to Reduce Sensor Value Variation. Sensors 2013, 13, 15532-15548.
http://www.mdpi.com/1424-8220/13/11/15532

学会発表
1. 藤岡宏樹, 清水信夫, 馬目佳信, 山本健二, 池田惠一, 鎌田美乃里, 冨澤康子. 人工鼻による類似臭判別アルゴリズムの検討. 第51回日本人工臓器学会大会・第5回国際人工臓器学術大会合同国際学術大会, 横浜, 9月.

2. 藤岡宏樹,冨澤康子,清水信夫,栗山千秋,鎌田美乃里,池田惠一,山岡龍平,山本健二,馬目佳信.ソムリエ表現法を使った匂いセンサーによるプロファイリング.日本味と匂学会第47回大会, 仙台, 9月.

3. 藤岡宏樹,冨澤康子,清水信夫,鎌田美乃里,池田惠一,山本健二,馬目佳信. 匂い分析装置によるコーヒープロファイリングと香料への類似度表現解析.日本食品科学工学会第60回記念大会, 日野, 8月.

統計数理研究所共同研究リポート
1. 藤岡宏樹, 清水信夫. 匂い分析装置の感知精度、及び表現力向上のためのアルゴリズムの開発 2014, 318.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ありません。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

清水 信夫

統計数理研究所