平成192007)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

19−共研−2019

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

3

研究課題名

リンパ球表面受容体遺伝子の分子進化についての研究

フリガナ

代表者氏名

ワダ ヤスヒコ

和田 康彦

ローマ字

Yasuhiko Wada

所属機関

佐賀大学

所属部局

農学部応用生物科学科

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

65千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

T細胞やB細胞、NK細胞などのリンパ球表面にはいろいろな受容体が発現していることが知られている。NCR1 (Natural cytotoxicity receptor 1 ; NKp46)やLILR(leukocyte immunoglobulin-like receptor)などの遺伝子はMHC遺伝子群などと同様に、ヒトやマウスのゲノム上で高度に重複していることが知られている。そして、それらの遺伝子の重複の時期は脊椎動物形成時からほぼ最近までにわたっており、哺乳動物のゲノム進化や免疫機能の進化を解明する上でのキー遺伝子群のひとつと言える。

 そこで、NCR1遺伝子やLILR遺伝子群について、哺乳動物や鳥類での塩基配列、アミノ酸配列および遺伝子発現情報を収集し、これらの遺伝子群の分子進化と転写制御の役割について分子統計学的な解析を試みる。特に、これらの遺伝子群での情報が不足しているウシやブタにおいて、cDNAライブラリからのLILR遺伝子などの単離を試み、哺乳動物全体としてのこれらの遺伝子群の分子進化と機能分化についての研究を実施する。 

本年度は、ヒトのLILRA2遺伝子の塩基配列を用いて、Pig Expression Data Explorer(PEDE; http://pede.dna.affrc.go.jp/)から全長クローンを探索し、塩基配列の異なる4クローンを取得し、塩基配列を決定し、既知のゲノムシーケンスと比較した。また、アミノ酸配列を用いた近隣結合法により、LILR遺伝子群の分子系統樹を作成した。
その結果、PEDEから得られた4クローンのcDNAの全塩基配列を決定することができた。UTR01_0082_C01は1,072bp、LNG01_00094_H09は1,816bp、PBL01_0098_A07は1,898bp、PBL01_0026_C10は1,651bpであった。また、A. L. Archibald 等により公表されている、ブタLILR遺伝子座を含むBACクローン(CR450381)との比較解析を行った結果、UTR01_0082_C01がLILRb遺伝子、PBL01_0026C10がLILRc遺伝子であると考えられた。さらに、LNG01_00094_H09とPBL01_0098_A07は、未知のLILR遺伝子のトランスクリプトバリアントではないかと考えられる。LILR遺伝子群のアミノ酸配列による分子系統樹では、PEDEから得られたクローンは、ヒトのLILRA4やLILRA5と同じグループに属していた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

城崎幸介、重松和子、上西博英*、和田康彦、ブタのLILR遺伝子群のクローニングと構造解析、
動物遺伝育種学会 2007年11月 つくば市

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研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏木 宣久

統計数理研究所