平成182006)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

18−共研−6010

専門分類

7

研究課題名

証拠を作り込むための技法と体制

重点テーマ

生物統計学の深化と展開

フリガナ

代表者氏名

ヤナギモト タケミ

柳本 武美

ローマ字

YANAGIMOTO, Takemi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

120千円

研究参加者数

9 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

自然科学の方法はしばしば、自然を虚心に観察することによって新しい知見が獲得できるかのような、素朴な信念に支配されている。しかし、一見迂回路のようではあるが結局は着実な進歩を駆動する。医療あるいは公衆衛生の分野では、迷信思いこみが多く、より信頼できる証拠を重視してきた。EBMの動きは証拠の重要性を関係者に認識させた。
 重要な証拠は、海岸に落ちている訳ではないので探索するよりも作り込むしかない。証拠を作り込むためには、高度に訓練された多くの専門家が必要である。その必要性は認識されるようになったが、改めて議論され、考察されていない。その為に統計的方法の新しい技術と新しい適用方法を開発する組織が必要となる。こうした流れの中で統計学は中心的役割の一つを担える筈で、その枠組を中心に議論する。本研究は重点テーマ全体の総括班・庶務班の役割をも果たした。
 本研究が企画される段階で、準備会として研究会 「生物統計学の展開を探る」を開催するとともに
本研究の方向を議論した。また、本年度には「科学的証拠を作り込む技法としての生物統計」を開催するとともに、別の研究会を共催した。本研究の方向は、地道に証拠を積み重ねることを主張するものであり、教育・キャリアパスにも配慮が必要な幅広い接近が求められる。一部の研究者らには抵抗のある側面もあった。しかし着実な成果が期待できる本道であることの認識が得られつつあることが確認できた。
より具体的なテーマとしては、鳥インフルエンザ・タミフルなど今日焦眉の問題を例にして、リスクの発見よりも明確な仮説のもとでの証拠の作り込みの役割について考察した。また、分担者の山本(岡山理科大学)は自治体保健職員への講習会の企画を絡めた証拠の作り込みについての考察と実践を行った。更には、医療分野での生物統計学者のキャリアパスの可能性と方向について、より具体的な視点から改めて整理した。
 本研究は事情により単年度実施が余儀なくなったが、本研究を踏まえて総研大の研究プロジェクトなど新しい形態で更に推進する予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会誌等発表:
1)評価を支える基盤としての項目プールとランダム出題の役割、東京医歯大MDセンター記録集
「共用試験の結果に関連する統計データの解釈とその意義について」、29-36、2007
2) 「生活環境要因のリスク評価:個人と社会」計量生物学会誌25周年記念特別号 H19. 5 (予定)

研究会報告:
1) 「洗練された科学的認識論のベイズ統計への含意」科研費シンポジュウム「統計学の哲学と推論」H18.12


ホームページでの広報:
http://www.ism.ac.jp/~yanagmt/ のうち最近のトピックス欄

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

テーマ:科学的証拠を作り込む技法としての生物統計学
開催日:2006年11月2日−3日
開催場所:統計数理研究所・講堂
参加者数:50人

テーマ:医薬品評価における統計的方法の新展開
開催日:2007年1月25日−26日
開催場所:大阪大学中ノ島センター
参加者数:120人

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大西 俊郎

統計数理研究所

酒井 弘憲

三菱ウェルファーマ(株)

柴田 義貞

長崎大学

大門 貴志

静岡県立大学

竹内 正弘

北里大学

田崎 武信

塩野義製薬(株)

津谷 喜一郎

東京大学

味村 良雄

神戸薬科大学