平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−6

専門分類

1

研究課題名

主成分分析におけるノンパラメトリック検定法の研究

フリガナ

代表者氏名

ウシザワ ケンジ

牛沢 賢二

ローマ字

所属機関

産能大学

所属部局

経営情報学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

平成6年度までの共同研究によって、固有根についての2標本問題に関連したノンパラメトリック検定法の課題はほぼ見通しがつきつつある。平成7年度の共同研究では、さらに1標本問題、および、主成分分析におけるもうひとつの重要なテーマである固有ベクトルの検定問題について、ノンパラメトリック検定法の適用可能性を探りたい。また、2標本問題で有効な方法であることが確認されたMosesの検定法の改良を図りたい。


主成分分析における固有根の2標本問題について、ノンパラメトリック検定法の研究を継続して行った。2標本の固有根に対応する主成分スコアをもとに、等分散性のノンパラメトリック検定法を応用する考え方をいろいろな母集団分布を想定して、シミュレーションによって研究している。本年度は、正規分布以外の対称分布として、Elliptical分布としてのcontaminated分布を考え、パラメータを変えることによって、分布の尖度が、我々がこれまで提案してきた検定法に与える影響を調べた。
その結果、(1)Ansari-Bradleyの検定法は対称分布であれば、尖度が大きい場合でも、サンプルサイズが大きいか、または、母固有根間の差が大きければ精度がよい。尖度が正規分布に近い場合には、サンプルサイズが200程度でも非常に精度がよい。(2)Mosesの検定法は、lognormal分布などの非対称な分布の場合でも精度は安定していたが、尖度の大きな対称分布の場合についても同様の結果が得られる。ただし、この検定法の信頼性を考えると、サンプルサイズは200程度は必要であると考えられる。(3)固有根の比を統計量とするF検定は、正規性が保証されないため、尖度が少しでも正規分布の場合から離れると精度が極端に悪くなる。このことは非対称分布の場合にも同様であった。したがって、F検定は使えないことが明らかになった。
これまでの結果から、Moses検定は母集団分布の尖度や歪度に対して、非常に頑健な方法であると言える。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Sugiyama, Ushizawa On non-parametric method to test equality of corresponding latent roots of two populations in principal component analysis for multivariate normal distribution, C.S. & D.A.(submitted), 1995

牛沢、佐藤、杉山 Moses Ranklike法にもとづく固有根の同等性に関する検定の評価、日本統計学会63回大会、1995.7.26
Ushizawa, Sato, Sugiyama On the nonparametric test for equality of latent roots of two covariance matrices in multivariate lognormal distribution, I.S.I. in Beijing, 1995.8.23

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(1) 研究内容 ・平成6年度までの固有根に関する2標本問題のより精確な方法を研究する。 ・固有根に関する1標本問題を解決するノンパラメトリック法を開発する。 ・固有ベクトルについてのノンパラメトリック法に関して研究を進める。 ・等分散検定法として有効なMosesの方法の改良を試みる。│(2) 共同研究の必要性 ・本研究は極めて大規模なシミュレーション実験により、ノンパラメトリック検定法の有効性を検証しようとするものであり、そのためには、物理乱数の利用が不可欠である。 ・ノンパラメトリック検定法の理論的な背景に関して当研究所の先生方の指導を仰ぎたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 澄江

統計数理研究所

佐藤 義治

北海道大学

杉山 高一

中央大学