平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−32

専門分類

3

研究課題名

モンテカルロ・フィルタ・アルゴリズムの改良に関する研究

フリガナ

代表者氏名

タカバ キヨツグ

鷹羽 浄嗣

ローマ字

所属機関

京都大学

所属部局

大学院工学研究科

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

モンテカルロ・フィルタは,非線形・非ガウス型状態空間システムの状態推定の有効な手段である.しかし,フィルタ推定値の確率分布を,乱数から生成される膨大な数のサンプルデータの集合として構成する必要がある.本共同研究は,できる限り少ないサンプルデータから良い推定精度を得るための新しいアルゴリズムの提案を目的とする.


本研究は非線型・非ガウス型状態空間システムの状態推定問題を解決するモンテカルロ・フィルタについての研究である。モンテカルロ・フィルタはサンプルを多数発生させ、そのサンプルがどのように変化するかをシミュレートすることで状態の確率分布を近似する。
このとき、モンテカルロ・フィルタは、M個(Mはサンプル数)の一期先サンプルからそれぞれの尤度に基づいて、M個のフィルタサンプルを得るリサンプリングという演算を必要とする。リサンプリングは時間のかかる演算である。
従来のリサンプリングアルゴリズムはM個のフィルタサンプルをそれぞれ別々に得ていたので、その計算量はO(M2)であった。我々は、直前にリサンプルされたフィルタサンプルの情報を利用する高速なリサンプリングアルゴリズム(計算量はO(MlogM))を提案した。
また、北川氏(1996)はリサンプリングに層別サンプリングを採りいれることによって、推定精度を向上させるリサンプリングアルゴリズムを提案している。この層別サンプリングを用いたアルゴリズムと提案した高速リサンプリングアルゴリズムを組み合わせることにより、より高速なリサンプリングアルゴリズム(計算量はO(M))を導出した。
このリサンプリングアルゴリズムは、高速であるばかりでなく、層別サンプリングの利点も継承している。提案したリサンプリングアルゴリズムを用いたモンテカルロ・フィルタの有効性を数値例により確認した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Koichiro Ueda,"Modified Algorithms for Nonlinear Non-Gaussian Filtering
Based on Monte Carlo Method."Master Thesis,Department of Applied Mathematics
and Physics,Graduate School of Engineering,Kyoto University,February 1998.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

モンテカルロ・フィルタでは,乱数により予測推定値とフィルタ推定値のサンプリング,リサンプリングを行なう.このためのアルゴリズムがいくつか提案されている(例えば,北川(1996),Gordon(1993)など).本研究では,当研究所の北川氏,樋口氏と共同で,従来のアルゴリズムを改良することにより新しいサンプリング,リサンプリングの方法を提案し,数値実験によって,その有効性を検証する.なお,膨大な数の乱数を発生させて数値実験を行なうため,疑似乱数では実験結果の信性が低く,信頼性の高い数値実験を行なうためには,当研究所の物理乱数発生器より得られる乱数を利用する必要がある.


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 浩一郎

京都大学大学院

北川 源四郎

統計数理研究所

酒井 英昭

京都大学

樋口 知之

統計数理研究所