平成202008)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

20−共研−2042

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

2

研究課題名

多変量地理情報データの解析支援システムの開発

フリガナ

代表者氏名

コバヤシ イクノリ

小林 郁典

ローマ字

KOBAYASHI, Ikunori

所属機関

徳島文理大学

所属部局

工学部電子情報工学科

職  名

准教授

配分経費

研究費

55千円

旅 費

330千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地理情報データを解析する場合には、位置関係を考慮しながら解析を進めたり、位置関係がわかるように解析結果を表示したりしなければならない。しかしながら、位置関係をすべて数値化して解析データとして扱うことが難しいので、地理情報データの解析では解析者がもつ地理的な情報や経験が役に立つことが多い。したがって、これをシステムとしてうまく利用できる仕組みが要求される。また、汎用的な統計グラフで多変量地理情報データを視覚化する場合、データの地球表面上の位置関係がわかるように表示することがむずかしいという問題がある。
 そこで本研究では、これらの課題を解決する試みとして、多変量地理情報データを探索的に解析することができる視覚化機能をもつシステムの開発と、これを利用した解析手法を探ることが目的である。
 従来、地理情報データを解析する場合、各領域の位置関係が重要な要因となるため、ドットマップやコロプレスマップのような地図を基本としたグラフィックスを利用することが好まれてきた。しかしながら、地図の場合には、表現できる情報は条件付きコロプレスマップを利用した場合でもせいぜい3変数までである。それ以上の多変量データの場合には、利用者がなんらかの方法で変数の選択を行うことが必要となるが、変数が増えてくればその作業は大きな負担となる。そのために、われわれは、平行座標プロットのように多変量を同時に表示できる統計グラフィックスを、地図を基本としたグラフィックスと密接に連携して利用することにした。
 今年度の成果は次の通りである。多変量の地理情報データを視覚化する方法としては、各領域の位置関係を観察するために目的変数に対して2つの変数による条件付けを行える条件付きコロプレスマップと、多変量データをひとつの図上に表示することができる平行座標プロットを双方向に連携することが有効であることがわかった。これにより、解析の初期段階でデータの全体像を眺めたり、偏りや外れ値の有無を観察したりすることが地図を基本としたグラフィックスだけを利用するよりも容易にできることを実際の地理情報データを利用して理解することができた。しかしながら、データ数が非常に多い場合には、この解析環境が十分に役立たない場面が見受けられた。多量なデータを適切にアグリゲートする機能の必要性を実感した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

● 論文

(1) 計算機技術と統計解析ソフトウェア, 中野純司,山本由和,小林郁典,藤原丈史, 日本統計学会誌, 第38巻, 第1号, pp. 59-69 (2008)

● 学会発表

(1) Statistical data visualization using OLAP techniques, Ikunori Kobayashi, Yoshikazu Yamamoto and Junji Nakano, IASC 2008 (Joint Meeting of 4th World Conference on Computational Statistics & Data Analysis of the IASC and 6th Conference of the Asian Regional Section of the IASC) Yokohama (2008)
(2) 地理情報データ表示用立体地形図のJava APIの作成,矢田貝昌宏,小林郁典,平成20年度電気関係学会四国支部連合大会講演論文集 (2008)


● ホームページ

http://jasp.ism.ac.jp/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

MURRELL, Paul

The University of Auckland

WANG, Huiwen

Beijing University of Aeronautics & Astronautics

中野 純司

統計数理研究所

矢田貝 昌宏

徳島文理大学