平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−45

専門分類

6

研究課題名

ニューラルネットワークによる局所気象非線形メカニズムの同定

フリガナ

代表者氏名

クリキ サトシ

栗木 哲

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計基礎研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

階層型ニュ−ラルネットワ−クを用いて,気象の局所的な非線形メカニズムを同定する手法を開発する。特に気象観測値の組織的な分類法等を考察し,これによってニュ−ラルネットワ−クの良好な学習を実現するのに必要な教師データを構成する。従来の大域的な数値モデル予報が不得意とする局所地域についての新たな気象予測手法を開発する。


現在の気象予報は、気象庁の数値予報モデルが主に用いられているが、これの各格子間距離が最小域ですら数十kmであり、これより狭い範囲での局所的気象予測には、その分解能力は十分とは云えない。そこで、現在の数値モデルでは表現できない狭義の意味での局所的気象の予測実施のため、階層型ニューラルネットワークを用いて、気象の局所的な非線形メカニズムを同定する研究を行った。
今回用いたニューラルネットワークは4-7-5-2の4層構造で、気象庁の気象管署の観測結果から1993年の秋田、八丈島、銚子、御前崎の気圧と羽田飛行場の風向、風速の時間変化量から教師データを構成した。冬型気圧配置、夏型気圧配置など基本的な気圧配置の種別ごとにしきい値、シナプス結合係数をバックプロパゲーション法で学習させ、羽田飛行場における実測値と学習結果について考察した。さらに翌1994年の観測結果を用いて汎化テストを行った。特に特徴抽出が容易な冬型気圧配置については良好な学習が行われており、ニューラルネットワークを用いた風向、風速の予測値は実用にたりるものであった。ケース・スタディではあるが、このニューラルネットワークを基にした予測モデルは、局所的気象予測に関して有用であることを示した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

松田,師玉,関根:ニューラルネットワークによる局地海上風の予測について
日本海洋学会秋季大会講演論文集,1995年10月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ある地点,ある時刻の風向,風連時間変化を例にとれば,これはその地点とその地点を囲む十分小さな近傍の気圧及び風向,風連から原理的には決定できる。しかし,実際にはその地点の近傍の地形の影響等,複雑な要因が絡み合い,非線形メカニズムを構成している。その種々の要因を,パラメータとして含む非線形モデル式を目的の地点毎に作る事は困難である。また,現状の気象観測ポイントの格子網は十分小さいとは云えない。本研究ではその地点とそれを囲む現状の観測ポイントの気象データからその地点の気象変化を予測するニュ−ラルネットを構成する。このためには観測雑音をも考慮した気象データの組織的,統計的整理による教師データの構成及び種々の気象データ間の因果関係の的確な把握が必要不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

師玉 康成

信州大学

田村 義保

統計数理研究所

松田 靖

三重大学大学院

松縄 規

統計数理研究所