平成192007)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

19−共研−2009

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

森林下層木の成長パターン解析およびニッチ分化の解明

フリガナ

代表者氏名

ホリ ヨシミチ

堀 良通

ローマ字

HORI Yoshimichi

所属機関

茨城大学

所属部局

理学部生物科学コース

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

70千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【研究の目的】
樹形はその種の資源獲得様式を反映した成長パターンに則って形成される。森林に見られる樹木の多様な樹形は、それらのニッチ分化を促し多種共存の一助となっているものと考えられる。そのため、種ごとの成長パターンを解析し、それらを比較することは多種共存機構の解明につながり、森林の遷移を予測する上でも重要な試みである。本研究では、照葉樹天然林において様々な植生パッチにおける樹木の成長パターンおよび樹形を比較し、数理的に解析する手法の開発を行うことを目的とする。

【研究の成果(経過)】
 長崎県対馬市龍良山の照葉樹天然林下層に優占し、よく萌芽を発生させるクスノキ科の亜高木2種イヌガシとヤブニッケイを対象に、閉鎖林冠下において様々な生育段階の個体のサイズおよび樹形を測定し、これを比較した。その結果、イヌガシは個体が小さいうちは多くの萌芽幹を持つが、成長と共に幹数が減少してやがて単幹になるのに対し、ヤブニッケイは成長と共に萌芽幹数を増加させていた。また、イヌガシはヤブニッケイと比べて自己被陰が大きく、個体がより小さい段階でその萌芽幹サイズに大きな優劣を生じさせるなど、両者の樹形構造は大きく異なっていた。このことから、同所的に生育する同じクスノキ科の萌芽性亜高木であってもその萌芽更新特性は大きく異なっており、それがニッチの分化をもたらし、共存の一助となっているものと考えられた。また今後の課題として、両種の詳細なニッチの違いを解明するためには、林冠ギャップ下などの大きく環境が異なる生育地においても両種の成長および動態の比較を行う必要があると考えられた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

【学会発表】

相川真一、河原崎里子、真鍋徹.「照葉樹林下層に生育するクスノキ科2種の萌芽更新特性の比較」第55回日本生態学会大会.福岡. 2008年3月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

相川 真一

森林総合研究所

島谷 健一郎

統計数理研究所