平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−11

専門分類

1

研究課題名

無限次元空間上の統計学の研究

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ナカヒロ

吉田 朋広

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

大学院数理科学研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

確率過程から誘導される無限次元空間上の統計的実験の族に対する統計的推測の漸近理論を研究することを目的とする。また、その経済学などへの応用を研究する。


経済学、工学、生物学等に多くの応用のある時系列モデル、拡散過程、点過程などの統計推測の理論を、数学的に研究した。確率過程の統計モデルから誘導される統計的実験は無限次元空間上の確率分布族になるため、これに対する統計推測は無限次元空間上の統計学と呼べるが、この理論の展開のためには様々な新しい確率論的な結果が必要になる。これらの結果を整理しつつ未知パラメータの推定などの問題を研究した。具体的には以下に述べるテーマで研究を行った。
(1)非線形時系列モデルの研究は線形のときとことなり、モデルの構成の段階から様々な可能性と任意性があるが、この一つとして最近バイリニアーモデルが注目されている。バイリニアーモデルに対して、モーメント法によって、未知パラメータの一致推定量を構成した。この種の非線形モデルに対してモーメントの存在を示すことは、線形モデルの場合と比べ、はるかに困難なことである。また、数学的にも未知な問題を含んでいる。
(2)長期記憶のある時系列モデルが最近盛んに研究されているが、これに対する統計推測の研究を行った。長期記憶のある定常時系列に付随した汎関数は短期記憶の場合とことなり、正規収束しないことがある(非中心極限定理)。したがってこの研究は統計学的にも重要である。
(3)生存時間の解析などに有効なモデルとして、点過程によるアプローチがあるが、この確率過程を特徴付ける危険関数(強度関数)のノンパラメトリック推定に関して研究した。離散観測の場合にも適用出来る統計量を構成し、その漸近挙動(一致性、漸近正規性等)を示した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Research Memo.ISM, 準備中

吉田朋広、Estimation for semimartingale regression models, 日本数学会、平成4年10月8日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

経済学、工学などで応用のある拡散過程、点過程といったセミマルチンゲールの確率的構造が明らかにされつつあるが、それらに対する統計推測の理論は、その重要性にもかかわらず、多くの問題が未解決のままである。
確率過程に対する統計理論を展開するとき、自然に無限次元空間上の分布族が現れるが、この統計的実験の族の漸近挙動の解析のために、マルチンゲール収束定理、混合的マルチンゲール中心極限定理などの極限定理の研究とそれらの応用を行う。また、長期記憶モデルなど最近確率論でも注目されている時系列モデルの解析の基礎となる理論の研究を行う。経済学への応用も研究する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

茂野 洋志

     

竹内 惠行

大阪大学

矢島 美寛

東京大学