平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−72

専門分類

7

研究課題名

混合ブートストラップーt 検定に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ワン ジン ファン

汪 金芳

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ブートストラップ検定法は、選ばれたデータ(サンプル)のみに依存して、 検定を行うノンパラメトリックな手法である。本研究は、2つの母集団平均の検定に関して、混合ブートストラップーt 検定を提案し、いままで提案されてきた他のノンパラメトリック・ブートストラップ法と比較・検討することを目的とする。


仮説検定の問題は、統計的誤差の推定や信頼区間の構成の問題とは、本質的に異なる点がある。仮説検定の問題では、データが得られた母集団の真の分布がどのようなものであるにせよ、我々が考察の対象とするのは帰無分布である。ブートストラップ法では、実際に観測されたデータに基づいて、条件付きで推論を行う。
しかしその観測データは、厳密に考えれば、決して帰無仮説で想定した母集団分布から得られたものではないのである。そしてこのことが、仮説検定の問題にブートストラップ法を適用する際のネックになる。それにも拘らず、ブートストラップ法は仮説検定を行うための有力な方法である。
本共同研究では、単純無作為抽出と層別無作為抽出の場合の2つの母集団の平均の同等性における混合ブートストラップ-t検定法の提案・精密化に関する研究を行った。
信頼区間などの場合のブートストラップ原理を仮説検定の問題にも単純に適用するだけでは、帰無分布の近似はできない。それは、実際のデータが取られた 2つの母集団の真の分布が、同じであっても、得られたデータから作られた経験分布 が近いとの根拠は何もないからである。混合ブートストラップ-t検定では、実際の2標本データを混合し、リサンプリングによって帰無分布の近似を提案している。
本手法を実際のデータへの適用、およびシミュレーションによってその有効性を確認し、また、いくつかの提案された手法に比べ、より有効であることも確かめた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

汪金芳, 田栗正章, ブートストラップ法--2標本問題からの考察,統計数理, 第44巻, 第1号, 3-18, 1996年


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上で述べた問題を、次の手順に従って、研究を行う。 (1)サンプルが単純無作為標本の場合 (1.1)通常のノンパラメトリック検定(例えば、メディアン検定, ウイルコックソン検定, 並べかえ検定など)との比較・検討を行う; (1.2)データ変換法(位置変換など)によるブートストラップ検定法との比較・検討を行う; (1.3)実際問題に対して適用し、その有効性について検討する。(2)サンプルが層別無作為標本の場合についても、(1) と同様な比較・検討を行う。本研究は、昨年度に行われた共同研究(A)による成果をさらに発展するものである。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田栗 正章

千葉大学

本多 正幸

千葉大学