昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−45

専門分類

5

研究課題名

アモルファス合金(MgAlGa)の原子構造の研究

フリガナ

代表者氏名

サトウ ヒロカズ

佐藤 洋一

ローマ字

所属機関

愛知教育大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

MgZn(2元系)やMgAlGa(3元系)の様なさまざまなアモルファス合金が創られ,その特性の研究がすすめられています。今回の研究の目的は,MgAlGaのアモルファス合金を代表例として,その原子構造を理論的に調べることにあります。アモルファス合金中で原子は一定の統計に従った分布をしているとした場合と,原子間のポテンシャルエネルギーを利用した,シミュレーションの手法で作った原子配列の場合とを比較しながら,実際のアモルファス合金(MgAlGa)での原子構造の研究をする。


今回,アモルファス合金の中で最も自由電子的ふるまいをする合金グループを研究対象に選んだ。これは理論的モデルとに比較的単純で,確かな根拠をもち,実験的研究も一定程度すすめられているためである。以前,我々は原子構造を統計的に全く無秩序で,短距離的秩序を無視したモデルでMgAlGaアモルファス合金の電気的特性を定性的に解明することができた。さらに定量的に解明するため,原子構造を研究する必要がある。実験的にのみ解明することが不可能な現段階において,計算機を利用しての構造のシュミレーションを目的とした。
まず,合金中での原子(イオン)間の実効ポテンシャルと力を第一原理的手法で求める。すなわち,直交平面波法に基づく擬ポテンシャル論をMgAlGaさらにはMgCu合金に拡張し,伝導電子のエネルギーを利用して,原子間の実効ポテンシャルと力を求めた。この計算は大型計算機で比較的長時間を要し,統計数理研究所での共同研究の大きな成果である。次に,アモルファス合金の構造のシュミレーションを行うことである。数千個の原子(イオン)集団を立方体に周期境界条件のもとに配し,表面効果が出ないようにする。さらに,シュミレーションの初期条件として,(i)立方体の中に面心立方格子点を設定し,(ii)これら格子点に統計的にランダムにMg,Ga,Al(またはMg,Cu)を与えられた一定の比率で割当てる。(iii)系の初期温度に対応する速度を統計的に正規分布に従うよう各原子に割当てる。(iv)すでに求めてある原子間の実効ポテンシャルと力とを各原子間に働く相互作用として組入れ,運動方程式に従い,微小時間(Δt)後の位置を決定,(v)(iv)をn回(n:パラメータ)繰返した後,系の冷却に対応する各原子の速度の大きさをα分の1に縮小する。(vi)温度が絶対温度OKにみなせるまで(iv)(v)を繰返えす。現在,このシュミレーションのプログラム作成はほゞ完成し,原子配列の座標データを作成し,統計的に解析をする段階にある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

日本物理学会または日本金属学会(1988年秋発表予定)
Journal of Physics.F.Metal Plysics et.al.(発表予定)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

まず,4月に,本研究についての打ち合せと,統計学的方法の学習を行う。7〜9月にかけ,アモルファス合金での原子構造に関する統計的分布の研究を行う。このためには,統計学の深い知見と本研究に関連した分野の研究経験を有する貴研究所のスタッフとの交流を必要とします。
さらに,金属中での原子間のポテンシャルエネルギーを数値的に求めた上で,8〜12月にかけ,電子計算機を利用して,静力学的手法によって原子集団のシミュレーションを行う。このシミュレーションは統計的に意味をもつように,原子数は数千個以上を必要とします。多少大がかりになるため,貴研究所の大型電子計算機を使用させていただければ可能となります。
1〜2月には,本研究の整理とまとめを行う。統計学的考察をも含めた研究内容であるため,有効な議論が期待される貴研究所を利用させてもらう必要があります。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

馬場 康維

統計数理研究所

松田 猛

愛知教育大学