昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−58

専門分類

6

研究課題名

松代群発地震の統計的研究

フリガナ

代表者氏名

ヒカワ ヒサヨシ

桧皮 久義

ローマ字

所属機関

地震観測所

所属部局

職  名

主任研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

1965年8月3日より始まった松代群発地震は22年4ケ月を経過した現在もなお有感地震が起るなど活動を続けている。松代群発地震の地震回数・発生時間間隔等により,地震発生の統計的モデルを解析し現状における活動予測の方法を検討する。(1988年1月12日現在で,有感地震63,270回,無感地震730,526回に達している)


気象庁地震観測所に残されている松代群発地震及びその開始前約7年間の地震活動のデータを電子計算機を使った統計処理が行なえるようパーソナルコンピュータを使用してフロッピーディスクへデータ入力した。データ入力時の入力ミスやオリジナルデータの矛盾のチェック及び修正は群発活動以前については完了した。
入力されたデータを用いて,松代群発地震活動以前の松代周辺の地震活動の様子を調べた。その結果,以下のことがわかった。
i)春先(2〜3月)と秋口(8〜9月)に,地震回数が増大する年周変化がみられる。
ii)地震活動は,はっきりした活動期,静穏期がみられる。
iii)松代付近で地震が増大する時期は,より広範な地域(新潟〜長野県北部〜福井)においてM≧5.0の地震の発生する時期とよく対応する。
iv)多少の増減はあっても,1957年〜1963年2月頃は定常的な活動をしている。
v)1963年2月頃までは,松代周辺全域で活動が高まることなく,1〜2か所の地域で時々活発になっている。
vi)1963年2月9日に松代から南西方向の常念岳(S−P時間約5秒)のところで,M5.5の地震が発生し,その直後から震源地のすぐ北側の信濃坂で群発活動が開始し,活発な時期が3月まで続いている。その活動の低下した4月に,S−P時間2.5秒程度のところに群発地震が発生した。その活動は1か月足らずで低下したが,この一連の出来事を境として松代周辺の地震活動は,その以前に比べて高くなった。
vii)この活発化の傾向は,特にS−P時間が1.4秒以下の極近傍で著しい。この傾向は,そのまま松代群発地震活動が始まる1965年8月まで続いているように見える。
viii)1963年4月の群発活動は,1965年8月からの群発活動が後に北東〜南西に活動域を拡大していった南西側の終端に対応するように思われる。
ix)以上のことから,松代群発地震活動のきっかけとなったのは,1964年6月の新潟地震からの活動の移動の他に,1963年2月の常念岳付近のM5.5の地震を直接のきっかけとしているように思われる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

i)松代群発地震前の松代付近の地震活動
地震学会1989年度春季大会講演(4月18日B55)
ii)松代付近における松代群発地震活動以前の地震活動
地震(準備中)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

松代群発地震の発生時間・日別地震回数等の資料の点検(3ケ月),同資料の編集(1ケ月:フロッピーディスク又はMT),統計モデルの解析(1〜2ケ月)及び地震回数変化の予測方法の確立に2〜3ケ月を予定している。
地震活動は1965〜67年の最盛期以来順調な減衰傾向にある他,現在では有感地震などの比較的大きな地震に伴う余震活動が年に数回程度,日別地震回数が0〜数十回の範囲であり,何日間かの活動度に基づき日回数の予測方法を検討する。バックグランドの傾向上の日回数と短期的活動によるゆらぎの効果を考慮した統計的モデルを検討する。この為,地震統計学の域を出て,統計学の最新かつ高度な知識を応用する研究となるので専門家の協力なしではすすめられない。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石川 有三

気象研究所

尾形 良彦

統計数理研究所

長田 芳一

地震観測所

柿下 毅

気象庁

永井 直昭

気象庁地震観測所

流 精樹

地震観測所

西脇 誠

地震観測所

細野 耕司

気象庁

牧 正

気象研究所