平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−110

専門分類

4

研究課題名

中高年齢者の職場適応に関する地域間比較研究

フリガナ

代表者氏名

サイトウ ムラコ

斎藤 むら子

ローマ字

所属機関

早稲田大学

所属部局

理工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

中高年齢者にとっての働き易い職場環境の整備や日常生活習慣の指導に関する研究は、産業医学、労働衛生工学等の領域において、それぞれ個別的に行われてきた。しかし職場及び日常生活の場における勤労者の健康維持増進に関わる諸要因の関連性についての総合的分析・評価は、従来あまり行われていない。
本研究では、勤労者の職場適応の状況を、自然環境、社会・文化的環境の異なる3地域間の比較を通して統計的見地から分析・評価することを目的とする。


本研究は3地域(亜熱帯地域、関東地域、寒冷地域)を調査対象として計画された研究の中で、平成5年度対象となった関東地域に位置する企業に従事する勤労者828名を対象として、職場適応状態を分析評価することを目的とした。
調査方法は此の調査のために作成した自記式調査票および東大式健康調査票を用いた。担当作業に対する意識として、作業変更願望、作業への興味、担当作業における能力発揮等の訴え強度と若年層においては精神的側面、中高年令層は身体的側面の各尺度得点との間に有意差がみられた。心身症と神経症の判別診断値による心身の健康度の評価では、担当作業に対する意識の高低が健康水準の高低に影響を与えている。疲労感については、精神的疲労感と心身全体の健康度との関連が示され、疲労感の強い人ほど心身症、神経症の傾向にあることが判明し、職場ストレスの身体化,somatization,神経症的精神化,nuerotic psychization,作用が観察された。
虚血性疾患との因果関係が注目されているタイプA行動特性を有する群における身体的健康指標について、非タイプA特性群と比較した結果では、タイプA特性を有する群の40,50才台の肝機能系の測定値が有意に高値を示し、タイプA特性群に対して成人病疾患の予防管理の必要性が確認された。作業意識、モチィベイション等との関連を見た結果、タイプA特性群では疲労の訴えや仕事の要求度は高くなるものの職場における良好な人間関係の維持されることが観察され、経営管理、職場管理上、タイプA行動特性の表裏を観察することが出来た。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

M.Saito,et al,Study on work adaptation and health management of industrial work-
ers The 3rd International Congress of Behavioral Medicine,Amsterdam,July,1994

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

現在までに、中高年齢者の健康水準の評価、勤務及び作業条件調査、日常生活習慣調査、生活環境調査などを通して、多数の健康指標の策定を試みてきた。具体的には、亜熱帯地域である沖縄地域(調査済)、寒冷地域である東北、北海道地域(本年度調査予定)、大都市圏である関東地域(調査済)の3地域の企業に従事する勤労者を対象に調査・分析・評価を行ってきた。
これら集積情報を統計的手法を用いて比較・分析し、各指標間の相互の関連性を明らかにすると同時に、中高年齢勤労者の職場適応の評価を行う上で有効な、定量的指標策定に適した統計的モデルを考察する。このため、貴研究所との共同研究を進めることは極めて有効である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 昇

統計数理研究所

辛島 光彦

早稲田大学大学院

庄司 卓郎

早稲田大学大学院

関 宏幸

早稲田大学

等々力 英美

琉球大学