平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2073

分野分類

統計数理研究所内分野分類

h

主要研究分野分類

1

研究課題名

アフィン不変性をもつダイバージェンス

フリガナ

代表者氏名

フジサワ ヒロノリ

藤澤 洋徳

ローマ字

Fujisawa Hironori

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

24千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究代表者である藤澤はガンマ・ダイバージェンスを提案した.対応する相互エントロピー(ガンマ・相互エントロピー)に基づいて推定量を構成すると,外れ値の割合が大きい場合にも潜在バイアスが小さくなることを指摘した.そのような結果は過去になかったため,画期的な結果であった.これをスーパー・ロバストネスと呼んでいる.

また,その逆も証明できた.スーパー・ロバストネスをもらたすような相互エントロピーは,ガンマ・相互エントロピーの単調変換に限る,という命題も証明できた.そして,ある種の不変性をダイバージェンスに導入すると,ガンマ・ダイバージェンスに限ることも証明できた.そのような逆の命題が示されていることは非常に少なく,これも画期的な結果であった.

前述した研究内容で不満であったのは逆の命題の証明であった.非常に長い証明の上に背理法ばかりであった.それは,それだけ命題の証明が難しいということであるが,なぜその命題が成り立つのかを見えにくくしていた.

最近になって,研究代表者は,共同研究者の金森と,この逆の命題の証明を簡単にすることを試みた.色々な試行錯誤の結果,次のような結果が得られている.アフィン性を先に導入することで,相互エントロピーのクラスがうまく制限できる.そのクラスの中だと,上述したような逆の命題が非常に簡単に証明できる.藤澤は,以前は,ロバスト性に関する命題の意図を優先してアフィン性を後に導入した.それを先にすることで,証明を簡単にしたことになる.

十分統計量の単調変換の下で不変なダイバージェンスはアルファ・ダイバージェンスであるという命題がある.この命題は非常にきれいである.我々は,もう少し弱いアフィン不変性を使っている.これは,ロバスト推定を考えるとき,十分統計量の単調変換の下での不変性まで強い性質を課してしまうと,何が外れ値であるかを判定するのが難しくなると考えたからでもある.

本申請研究では,アフィン不変性の下で得られる相互エントロピーやダイバージェンスのクラスを考察した.その結果として新しいダイバージェンスを構築した.そのダイバージェンスは,ダイバージェンスとしての性質がヘルダー不等式から証明されるので,ヘルダー・ダイバージェンスと名付けた.そのダイバージェンスと,良く知られているブレッグマン・ダイバージェンスの共通部分を考えると,ベータ・ダイバージェンスとガンマ・ダイバージェンスをきれいに繋ぐ単純なダイバージェンスを得ることもできた.この結果をまとめた論文は Bernoulli に受理された.さらに,そのダイバージェンスを利用して,パラメータだけでなく,外れ値の割合も同時に推定する手法も考えた.この論文は投稿中である.



 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Takafumi Kanamori and Hironori Fujisawa (2014).
Affine Invariant Divergences associated with Composite Scores and Their Applications. Bernoulli (in press)
http://arxiv.org/abs/1305.2473

Takafumi Kanamori and Hironori Fujisawa (2013).
Robust Estimation under Heavy Contamination using Enlarged Models.
http://arxiv.org/abs/1311.5301


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会の開催はない.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

金森 敬文

名古屋大学