平成152003)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

15−共研−1017

専門分類

7

研究課題名

時系列解析法による動物の高精度行動解析

フリガナ

代表者氏名

ハナイ カズミツ

花井 一光

ローマ字

Hanai Kazumitsu

所属機関

京都府立医科大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

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研究目的と成果(経過)の概要

これまでは無脊椎動物ヒドラの還元型グルタチオンに対する行動応答をビデオに撮り、そのビデオ映像の
各フレームの目的画像の画像特徴量を算出し、その変化を時系列として解析を進めた。その結果、生理活性
ペプチドの存在下でARモデルの次数で薬物の有無を判定するのは有効な方法であることが示唆された。
 アリのコロニー認識能力を行動テストで調べる実験:アリの行動は非常に高度な社会性を示すことが知ら
れている。生物学的には同じ種に属していても、あるアリの集団同士が出会った場合、育ったコロニーが違
うと、激しく争い、同じコロニーの集団同士のときには情報交換などをする。このアリのコロニー識別は体
表に分泌される脂肪族炭化水素の成分比に基づいているとされている。また、アリは同じコロニーの他の個
体の歩いた跡をたどることもよく知られている。コロニー識別と足跡をたどるのとは同じ物質的基盤の現象
と考えられている。そこで、アリのコロニー識別能をさらに詳しく研究することを試みた。同じコロニーか
ら採取した多数のクロオオアリを直径90mmのシャーレの中を自由に歩かせ十分足跡物質を塗布した後、その
シャーレに1匹の同巣あるいは異巣のテスト個体を入れてその歩きぶりをビデオカメラで撮影し、解析する
ことを試みた。
 この解析を進めるために、アリの行動を撮影したビデオからアリの画像を選択的に抽出する必要がある。
ヒドラのときに利用したLinux上で動くCプログラムglanaをアリの場合にも使えるよう改造にした。ヒド
ラは黒い一様な背景に白い像であったが、アリの場合は、白い背景の中に黒い画像である。また、アリの場
合には、シャーレの中を歩かせるので、画像にはシャーレの像が入ってくるのでこれを除去しないとアリ画
像をうまく抽出できない。背景のシャーレ像は動かないが、アリは動くことを利用して、アリ画像を背景か
ら分離するアルゴリズムを工夫した。
 アリ画像の抽出は、ほとんどの条件下で満足できるものが得られた。アリの場合は、代表点の移動(歩行)
の仕方も意味があるので、これを解析することを試みた。この結果、移動、停止の時間間隔をフラクタル解
析すると、歩行条件特異的にフラクタル次元が変化することがわかった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

花井一光、中川恵津子、大橋乙予、尾崎まみこ、山岡亮平:アリのコロニー識別行動のビデオ解析、日本味
と匂学会誌Vol.10(No.3)pp577-580、2003
里路裕司、大橋乙予、桑原大樹、花井一光、山岡亮平、尾崎まみこ:体表炭化水素接触刺激によるクロオオ
アリの攻撃行動、日本味と匂学会誌Vol.10(No.3)pp575-576、2003

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所