平成132001)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

13−共研−1022

専門分類

8

研究課題名

経済成長率に対する教育投資効果の統計解析

フリガナ

代表者氏名

カワサキ ヨシノリ

川崎 能典

ローマ字

Kawasaki Yoshinori

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究目的は、経済成長率に対する公共投資や教育投資効果の統計解析であった。昨年度までの標準的
な分析では、線形回帰分析の枠組みの中で都道府県別データを扱う際に注意すべき問題についてはおお
むね考慮して分析を行った。特に本年度は、教育投資に関する人的資本の蓄積の経済成長への効果につ
いて研究を進めた。まず、人的資本の代理変数として先行研究で数多く用いられている変数について評
価をした。さらに多くの経済変数がproxy variableであることより、proxy variableによる測定誤差の
問題について考慮した。具体的には、説明変数に測定誤差があるのか否かの問題を検証するために、
Hausman検定を行った。このとき大標本検定であるHausman検定をサンプル数36の地域データに
よる実証研究で行う場合、検定統計量に用いる分散共分散行列を推定することが困難なことにより検定
が実行不可能なことがある。よって一般に小標本特性が優れていると言われるリサンプリングを伴うブ
ートストラップ法を用いて検定を行いこの問題を解決した。結果、説明変数に測定誤差があることを考
慮する統計的推測を行うことの必要性を示すことができた。以上のように都道府県データを用いて人的
資本(教育投資)、社会資本(公共投資)を含む生産関数についての統計的推測については、一応の結
論を得た。よって本年度の後半は、統計数理研究所の有価証券報告書のデータベースを用いて、企業デ
ータによる生産関数の統計的推測を行った。1965年から2001年の製造業・非製造業の東証一部上場企
業データによるクロスセクション分析を行い。各年度について、関数型(translog型)のnonparametric
検定を行った。結果は、1980年以降はtranslog型生産関数が棄却される結果となり、既存の経済理論・
実証研究で標準的に使用されているtranslog型生産関数を用いることを再考察する必要を示した。今
後の研究としてパネル推定を行うこととsemi parametricなモデル構築を行うこと、また企業毎の人的
資本データの収集をすることによりマクロデータを用いた生産関数の統計的推測との比較を行いたい。
本年度の研究はその基礎となるものであった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文
小西葉子「人的資本を含む生産関数の推定」名古屋大学環境学研究科discussion paper No.02-1
小西葉子「生産関数の推定における人的資本の代理変数」(投稿中)
小西葉子「人的資本の経済成長への効果に関する計量経済分析」(投稿中)
Konishi,Y.and Y.Nishiyama,Nonparametric Test for Translog Specification of Production
Function in Japanese Manufacturing Industry,iEMSs proceeding(査読有)
Konishi,Y.and Y.Nishiyama,Time Variation of Production Technology of Japanese Industries,
(投稿中)
学会発表
小西葉子,「人的資本を含む生産関数の頑健推定」日本統計学会第69回大会
研究会・セミナー等
小西葉子,「人的資本を含む生産関数の推定」地域科学セミナー,名古屋大学環境学研究科
Konishi,Y.and Y.Nishiyama,Nonparametric Test for Translog Specification of Production Function
in japanese Manufacturing Industry,ノンパラメトリック統計モデルの推定と平滑化法,統計数理研究
所共同研究集会

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小西 葉子

名古屋大学大学院

根本 二郎

名古屋大学