平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−84

専門分類

7

研究課題名

ヒトの発育の時系列解析

フリガナ

代表者氏名

トウゴウ マサミ

東郷 正美

ローマ字

所属機関

神戸大学

所属部局

発達科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

発育は時間と共に変化する現象であり,その解析には時系列解析が必要である。しかしそのような研究は数少ない。そこで本研究はヒトの発育を時系列解析で研究することを目的とした。我々は従来まで発育の月次データをセンサス局法で解析し,さらに日次データをBAYSEAで解析してきたが,最近DECOMPでの解析が発育に現れる波動の解析に有効であることが分かった。1日2回測定の対象も増えたので,今後もDECOMPによる解析を継続したい。


発育は時間と共に変わる現象であるから、ヒトの発育は時系列解析で解明されなくてはならない。しかしそのような研究は、日本において僅かに行われているのみである。
本研究は、1971年以来現在まで継続して同胞5人の身長・体重を毎月測定した20年余に亘るデータ、および起床後と就寝前の1日2回、二組の姉妹とその母親を3〜5年間継続して測定したデータについて、統計数理研究所で作成された非定常時系列解析プログラムDECOMPを用いて解析した。
【結果と考察】
1. 発育は滑らかに進行するということが従来の定説となっているが、CENSUS局方やBAYSEAで発育データを解析すると、定説に反して多くの波動が現れた。
しかしその波動は、DECOMPによってAR過程を分離すると消える。AICを参照しつつARの次数を変えていくと、身長・体重とも次数1、2または3のときAICは最小となった。AR過程として把握されたものの意味をさらに検討している。
2. 毎月測定の身長・体重値からは、明確な季節変動が分離された。
しかし、その季節変動には個人差が見られ、肥満傾向の子どもは夏に体重が増加することが判明した。
3. 1日2回の測定値は朝と夜の測定値毎に解析されたが、4名の被験者いずれにも7日の週変動が観察された。しかも、子供の身長・体重は週末に増加するが、さらに週半ばにも増加しており、1週間の中で2回増加するリズムのあることが示唆された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

東郷正美 「体格指数(比体重,BMI,ローレル指数)の時系列解析」 第5回AUXOLOGY研究会記録集,vol.2,1995.9
小林正子 「発育における日内変動および週変動の検討」 第5回AUXOLOGY研究会記録集,vol.2,1995.9
小林正子 「発育から子どもを見る」 東京大学大学院教育学研究科紀要,第35巻,1995.12


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1)昨年度は,1971年から測定した5人の同胞の身長・体重の月次データをDECOMPで解析したが,今年度はその他の発育変数についても解析する。
2)時間の経過に従って波動も変化してきている。発育期から成人へ移行する過程で,AR過程や季節変動成分の変化を捉え,移行期の姿を把握すると共に,AR過程が示す波動の生物学的意味を理解する。
3)別の小児および成人を対象に1日2回の測定が行われている。昨年度は,2女子と1成人をDECOMPで解析して発育に関する新しい知見を得たが,さらに対象を拡げて研究する。
以上はいずれも貴研究所の時系列解析の専門家との共同研究によってはじめて実のりあるものになると期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岩城 淳子

東京大学大学院

北川 源四郎

統計数理研究所

小林 正子

国立公衆衛生院