平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2026

専門分類

3

研究課題名

経済時系列解析におけるモデル推定法の研究

フリガナ

代表者氏名

キョウ コウキ

姜 興起

ローマ字

Jiang Xing-Qi

所属機関

旭川大学

所属部局

経済学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本共同研究の目的は次の通りである。(1)回帰分析の新しい方法の開発。従来の変数選択によるモデル推定選択の方法に代わり、直行回転で独立成分化したモデルにおいて独立成分の取捨選択でモデル推定選択を行う手法を提案する。また、開発した方法を経済成長の要因分析に適用する。(2)日本の地域経済の動態分析。都道府県レベルで見た地域経済は、技術進歩や社会経済変動などの共通な要因の影響を受ける一方、地理条件などの地域的要因の影響も受けている。したがって、物的資本、人的資本や技術進歩など変数の経済効果の地域特性に関する経済統計分析は非常に重要である。本研究では、都道府県別生産関数のベイズ型モデルを構築し、モンテカロル・フィルタなどの方法でモデルの推定選択を行う。また、構築したモデルを地域経済分析に適用する。(3)季節調整法の改良。経済時系列の季節調整は状態空間モデルとカルマンフィルタの使用により、その効率性は以前より非常に改善されている。しかし、超パラメータの推定法にまだ改良の余地があるように思われる。本共同研究では、効率のよりよい超パラメータの推定法の開発を行う。
本研究は平成17年より3年計画で行う進行中の課題である。平成17年度では、前述研究目的(1)と(2)に関する基礎研究を行い、次の成果を得た。まず、従来の回帰分析における説明変数の取捨によるモデル構築の方法に代わって、新しく係数成分制約法を提案した。提案法では、応用上に意味があり、かつ利用可能な全ての説明変数を取り込んだ回帰モデルを基本モデルとして、この基本モデルにおける回帰係数ベクトルの直行変換で係数成分ベクトルを定義した。そして、係数成分ベクトルにおける特殊な係数成分に制約を課すことによってモデル候補を作り出し、AICなどの情報量規準を用いてモデルの選択を行った。提案法によって、[1]モデル候補数低減によるモデル選択の簡易化、[2]モデル推定精度の向上、[3]よりよいモデル発見の可能性などを求めることができるようになった。次に、日本の都道府県の同時生産関数を作成し、それを地域経済分析に適用した。この研究では,目的変数に都道府県の総生産を、説明変数に民間資本ストック、公的資本ストックおよび人的資本をとり、状態変数に技術水準をとった。また、技術水準の変化に平滑化事前分布を、各弾力係数に無情報の事前分布を導入することによってベイズ型モデルを構築した。モデルの推定にモンテカルロフィルタを用いた。この推定法によって,興味深い推定結果を得ることができた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1) K. Kyo and H. Noda, Constrained coefficient component regression Analysis and its application, Journal of Japan Industrial Management Association, Vol.56, No.6, 2006.
(2) 姜 興起,係数成分制約のアプローチに基づく回帰分析法の提案,Information, Vol.9, No.2, 2006.
(3) 野田英雄・姜 興起,日本のTFP変動と都道府県別構造パラメータの統計分析,九州大学経済学部研究会,2006.
(4) K. Kyo and H. Noda, Statistical analysis of cross-prefecture production function with dynamic structure in Japan, International Symposium: Intersection, Fusion and Development of Multi-Fields, Chinese Academy of Science and Engineering in Japan, 2005.
(5) X.Q. Jiang (K. Kyo), Regression analysis via constrained coefficient-component approach, International Symposium on The Art of Statistical Metaware, ISM, 2005.
(6) 姜 興起, 係数成分制約を用いた回帰分析法の提案と北海道の稲作生産性に対する気温の影響分析, 旭川大学紀要, No.59, 2005.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所