平成232011)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

23−共研−2041

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

5

研究課題名

微分方程式から導かれる複雑な非線形回帰モデルのパラメータ推定法の研究

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ ナガトモ

中村 永友

ローマ字

Nakamura Nagatomo

所属機関

札幌学院大学

所属部局

経済学部

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

63千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

[研究概要] :
1.研究の背景
 海岸工学の分野において取得される様々なデータの解析は,統計的モデリングを適用することで解決できると考えられる問題が数多く存在する.例えば変化点問題,微分方程式の解をモデルとするパラメータ構造が非常に複雑な非線形回帰の問題等である.過去にある定点(焦点)を通る回帰直線群に関する統計モデルとその周辺問題の研究を行った.このモデルの背景は,一定条件下で観測される風速データセット群があり,各セットには回帰直線が想定され,直線群が1点で交わる(焦点をもつ)という事実による.焦点の存在は乱流理論に基づき証明できるが,焦点自体を求める方法論がこれまでなかった.これは永年の未解決問題で,統計モデルではじめて焦点を正確に求めることができた(中村・土屋,2007, Nakamura and Tsuchiya 2009).また焦点の物理的な解釈の定説がなく,焦点を正確に求めることができれば,その解釈にも一定の寄与をすると考えられるので,この周辺の研究を行った.
 2011年度は同じ分野における飛砂量の確率分布に関係する非線形回帰モデルを中心に研究を行う.

2.微分方程式から導かれる非線形回帰モデルの研究
 微分方程式の解をモデルとするパラメータ構造が非常に複雑な非線形回帰モデルの問題を取り上げる.
 この回帰モデルは砂浜において飛砂がある場合,どの程度の風速でどれくらい砂が飛ぶか,という現象解析のモデリングである.乱流理論に基づく微分方程式の解として数理モデル(回帰モデル)が得られる.しかし,現地観測や風洞実験で得られたデータにこのモデルをあてはめた場合,この回帰モデルのパラメータに不定生があるため,経験と勘に基づく何らかの条件を入れなければパラメータ推定が確定しないという問題点がある.本研究では数理的考察とデータに基づいて客観的にこの「何らかの条件」を書き下すことを目的とする.


[研究経過] :
 数理モデルとデータはすでに入手しているが,この研究のきっかけを頂いた研究者(海岸工学)と,「経験と勘」のモデリングを行うため研究打合せを行った.外的に与えられるパラメータ値や,パラメータ間に何らかの関係を入れて多段階の回帰モデル,あるいはベイズモデルのモデリングを試行錯誤的に行っている.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Hotta, S., Kubota, S., Nakamura, N. and Hosaka, K. (2011). Re-examining the distribution of Horizontal distance traveled by saltating sand grains in air, Proceedings Coastal Sediments '11, ASCE, pp754-767.

Hotta, S., S. Kubota, N. Nakamura (2007). Distribution of Horizontal Distance Traveled by Saltating Sand Grains in Air, Coastal Sediments '07, Proceedings of the Sixth International Symposium on Coastal Engineering and Science of Coastal Sediment Processes, 1255-1268, Nicholas C. Kraus, Julie Dean Rosati(eds), May 13-17, 2007, New Orleans, Louisiana.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会は開催していない.
研究打ち合わせとして,研究所で3日間,学外研究者と延べ5日間研究打ち合わせを行った.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所

小西 貞則

中央大学

土屋 高宏

城西大学