平成4（1992）年度　共同研究実施報告書

課題番号	4−共研−6			専門分類		1
研究課題名	確率過程の大域的性質の研究
フリガナ 代表者氏名	オオクラ　ヒロユキ 大倉 弘之			ローマ字
所属機関	京都工芸繊維大学
所属部局	工芸学部
職　　名	助教授
所在地
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	15　人

研究目的と成果（経過）の概要

確率過程の再帰性、保存性を中心に考え、それらの判定条件を整備し、他の大域的性質との関連を明らかにしたい。ディリクレ形式、フーリエ解析、確率微分方程式等の様々な方法による最近の諸結果を比較検討し、特に、高次元空間におけるジャンプをもったマルコフ過程に対する再帰性の新しい判定条件を得たい。


本共同研究では確率過程の再帰性・保存性をはじめとする様々な大域的性質に着目してそれらの特徴付けや性質間の相互関係を明らかにすることを目的としている。最近共同研究者らにより多くの新しい結果が得られている。これらの多様な研究成果を交流する目的で1992年11月26日〜28日に研究集会「確率過程の大域的性質の研究」を開催した。講演タイトルと講演者は以下のとおりである。
１：Ornstein-Uhlenbeck 型過程の再帰性の判定条件（渡部 俊朗）、２：Criteria for recurrence and transience of semistable processes （崔 慶淑 名大）、３：Isoperimetric inequalities of infinite planar graphs （樋口 雄介 東大）、４：Intersections of random walk paths （濱名 裕治 九大）、５：２次元ランダムウォークのポテンシャル核の評価（深井 康成 東工大）、６：Brownian exit from unbounded domains （厚地 淳 東大）、７：時間的に一様でないprocessのある種の変換と保存性について（大島 洋一熊本大）、８：Asymptotic behavior of densities of multi-dimensional stable distributions （平場 誠示 東工大）、９：一次元一般化拡散過程の到達時間の漸近挙動（山里 真 名工大）。
尚、これらの講演の趣旨に基づいた統計数理研究所共同研究リポート43が研究成果報告書として刊行されている。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

Y.Oshima,Some properties of Markov processes associated with time dependent Dirichlet forms,Osaka J.Math., vol.29, 1992
K.Sato, T.Watanabe, M.Yamazato, Recurrence conditions for multidimensional processes of Ornstein-Uhlenbeck type, J. Math. Soc. Japan, 投稿中

大島洋一、対称マルコフ過程の再帰性と保存性について、科研費シンポ「楕円型・放物型方程式の正値解の構造」、1992.11.30
佐藤健一、山里真、渡部俊朗、Ornstein-Uhlenbeck型過程の再帰性の判定条件、日本数学会年会、1993.3.26

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

（１）直積・斜積型マルコフ過程に対する再帰性の判定条件を一般化すること。その中で、再帰性の「強さ」をより明確に把握し、定量的概念として定義したい。
（２）マルコフ過程のドリフトとジャンプが再帰性にどのように反映するのかできるだけ定量的にとらえたい。これには最近のオルンシュタイン＝ウーレンベック型過程に対する結果と（１）の研究をつき合わすことが有益だと考えられる。
（３）保存性、到達時刻の分布や不変分布に対する極限定理等の他の大域的性質との関連を明らかにすることも重要である。
以上のような研究には数理統計学の基礎理論と確率過程論との協力が非常に有益であり、当研究所の清水教授、志村助手との共同研究が必要である。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
市原 完治	名古屋大学
大島 洋一	熊本大学
神田　護	筑波大学
佐藤　健一	名古屋大学
佐藤　定夫	東京電機大学
志賀　徳造	東京工業大学
清水　良一	統計数理研究所
志村　隆彰	統計数理研究所
竹田　雅好	大阪大学
Choi　Gyeong-Suck	名古屋大学大学院
富崎　松代	山口大学
濱名　裕治	九州大学
山里　眞	琉球大学
渡部　俊朗	会津大学