平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−95

専門分類

8

研究課題名

連続時間非線形経済動学モデルの統計的推測理論の研究

フリガナ

代表者氏名

テルイ ノブヒコ

照井 伸彦

ローマ字

所属機関

東北大学

所属部局

経済学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

これまで経済理論上の展開のみにとどまっていたカルドアモデル、グッドウィンモデルなどに代表される連続型の非線形微分方程式にもとづく経済動学モデル分析の統計的推測問題を扱い、モデルをデータによって検証可能な枠組みへ拡張することを目的とする。


これまで経済理論上の展開のみにとどまっていたカルドアモデル、グットウィンモデルなどに代表される連続時間で定義される非線形微分方程式にもとづく経済動学モデル分析の統計的推測問題を本研究は扱い、モデルをデータによって検証可能な枠組みへ拡張することを目的として研究が行われた。
また、グットウィン、カルドアなどによって議論された内性的景気循環論のなかで使われるロトカ- ボルテラ型やレイリー型の非線形微分方程式が循環を表現するモデルとして意味をもつためには、方程式の係数間に制約がつくが、その制約が与えられたデータのもとでどの程度成り立っているかを評価する方法を提案した。
つまり、具体的にはXを係数パラメーターとして、モデルが循環する軌道をもつための条件は、たとえばgを関数として"g(X)>0"の形で表わされるが、その命題がどの程度データから支持されるかを事後確率Pr{g(X)>0|Data}を計算することで評価する。
離散時間で観測された経済データを当てはめる際の非線形連続モデルの離散化の有効な方法として”局所線形化”法を採用したが、そのときモデルは、統計理論的には”共通な係数パラメータ”をもつ非線形構造方程式の推定問題に帰着され、上記のような事後確率の評価に関して、条件付分布により同時事後分布が分割できることを利用した効率的なモンテカルロ積分の手続きを提案した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

線形あるいは非線形な微分方程式を分析道具として多くの経済理論が展開されてきたのに対し、その統計的推測を扱う計量経済学的研究は線形なモデルのみに限られ、非線形微分方程式にもづく経済動学モデルの統計的推測およびその実証分析はほとんど手がつけられていない。
他方、自然科学とりわけ力学的視点から、非ガウス確率過程における非線形動学モデルを特徴付けるDiffusion過程と非線形時系列モデルとの関係が微分方程式の離散時間化と緊密に関係のあることに注目し、連続時非線形時系列モデルの統計的推測手続きが尾崎統計数理研究所教授によって示された。本研究では、この分析手続きを非線形経済動学モデルに適当なように修正を行い、実際の経済データに応用し実証分析をおこなう。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾崎 統

統計数理研究所