平成222010)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

22−共研−1001

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

1

研究課題名

衛星観測により得られたデータを用いた空間統計手法による全球分布予測手法の高度化

フリガナ

代表者氏名

トモサダ ミツヒロ

友定 充洋

ローマ字

Tomosada Mitsuhiro

所属機関

電力中央研究所

所属部局

システム技術研究所 需要家システム領域

職  名

特別契約研究員

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、地球温暖化やオゾン層の破壊といった大気微量物質の濃度の変化に起因する地球環境問題が深刻になっている。例えば、地球温暖化は、IPCCの報告書によれば、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)の濃度の増加によることが原因である。また、オゾン層の破壊は、フロンガスによる成層圏のオゾン(O3)の減少に起因する。大気微量物質の濃度の変化に起因する地球環境問題を解明するためには、それぞれの大気微量物質の空間的・季節的な動態を把握する必要がある。しかし、現在、全球規模で大気微量物質の動態を把握できるほどの地上観測所はなく、特に地表の約2/3を占める海洋ではほとんどない。衛星観測は、ほぼ全球を観測することができる有効な一手段である。2009年に、CO2とCH4の気柱量(単位面積当たりの地表から大気上端までの濃度の積算値)を観測することを目的とした衛星GOSATが打ち上げられた。1) 衛星観測によりCO2とCH4の気柱量か可能な限り高精度に導出されることが望まれ、また2) 観測位置とそのCO2またはCH4の気柱量からは、CO2とCH4の気柱量の全球分布を読み取ることが困難なため、可視化方法の開発が望まれる。
本研究では、CO2を対象大気微量気体として、非定常空間分布予測手法の開発を行った。地表付近のCO2の吸収量および放出量は、地表の土地被覆により異なることが既存の研究により知られている。そのため、観測大気下の土地被覆によりCO2濃度の空間構造が異なることが考えられる。そこで、観測大気下の土地被覆の違いを考慮することによって、全球分布予測結果の改善が図れることが期待される。また、全球分布予測では、観測地点数が10,000から100,000程と多く、観測値の共分散逆行の逆行列が通常の方法では得られないことが知られており、全球分布を予測する上で課題となっている。本研究では、この課題に対して、共分散を、逆行列の計算が可能な次元に縮約してモデル化を行い、土地被覆情報を考慮して共分散の逆行列を得ることが可能な予測手法の提案を行った。今後、土地被覆情報を考慮することにより、考慮しない場合と比較してどの程度の改善となるかを定量的に評価する。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

? Mitsuhiro Tomosada, A prediction Method for the global distribution of CO2 concentration from irregularly observed locations, 1st Conference of Spatial Statistics 2011, University of Twente, Netherlands, March 23-25, 2011.
? Mitsuhiro Tomosada, A Prediction Method for the Global Distribution of Amount from Amounts Acquired at Irregularly Observed Locations, ワークショップ 新領域融合プロジェクト 人間・社会システム データ中心人間・社会科学の創生, 統計数理研究所, 2011年3月1日.
? Mitsuhiro Tomosada, A Prediction Method for the Global Distribution of CO2 Concentration Introduced Land cover Information into Non-stationary Kriging, The 31st Asian Conference of Remote Sensing, November 1, 2010.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

なし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

椿 広計

統計数理研究所