平成212009)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

21−共研−1017

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

4

研究課題名

バーチャルオーロラシステムを利用した大規模シミュレーションデータ可視化・解析

フリガナ

代表者氏名

ムラタ タケシ

村田 健史

ローマ字

Ken T. Murata

所属機関

情報通信研究機構

所属部局

電磁波計測研究センター

職  名

グループリーダー

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

現在、NICTのプロ
ジェクトの一つとし
て、JGN2plusをベ
ースとしたサイエン
スクラウド(とくに
ストレージ)の実装
を行っている(図
1)。サイエンスクラ
ウドは、?広域分散
ファイルシステム
?スパコン仮想化、
?大規模可視化の3
つから構成する。
 ?については、分
散ファイルシステム
ミドルウェアである
Gfarm2により約
270TB(物理容量で
約350TB)の分散ストレー
ジを実装した。分散ストレ
ージは、小金井(約
150TB)、大手町(約3TB)、
沖縄(約100TB)、大阪(約
100TB)の4拠点に分散し
て配置した。分散ストレー
ジでは、各クライアントノ
ードのメタデータベースへ
のアクセス速度、各クライ
アントノードからファイル
システムノードへのファイ
ルアクセス速度などの実用
上の実行速度とデータファ
イルの冗長性、メタデータ
ベースの冗長性などの冗長性が重要である。前者については、上記の270TBの分散ストレージ
システム構築後に、基本的な試験を行った。(結果は省略。)ばらつきはあるものの、ファイルシ
ステムノードおよびクライアントノードがともに小金井にある場合は、80MB/sec程度が達成さ
れており、これは本システムのeSATAでの読みだし速度と同程度である。一方、小金井のクラ
イアントノードが大阪や沖縄のファイルシステムノードにファイルを読みだした場合は、eSATA
のファイルI/Oを達成できないことが分かる。これは、Gfarmのデータ通信のための遅延が原因
である。(なお、JGN2plus
では、小金井-大阪間は
10Gbps、小金井-沖縄間は
1Gpbsであるため、この
影響(差異)も無視でき
ない。)これらを考える
と、分散ファイルシステ
ムを用いてデータ処理を
行う場合には、クライア
ントノードとファイルシ
ステムノードの距離が一
定内になるようなクラス
タリングが必要となる。
現在、この仕組みについ
て検討中である。
 ?については、NICT
と大阪大学サイバーメデ
ィアセンターの2つのス
ーパーコンピュータ
(SX-8およびSX-9)の
仮想化を行った(図2)。
これらのスパコンは、直
接、JGN2plusに接続で
きないため、計算結果を
上記?のストレージに出
力することはできない。
そこで、本年度は、スパ
コンが有するFC(Fiber
Chanel)のスイッチに
JGN2plusとブリッジす
るデータ転送用計算機を
取り付けた。このブリッ
ジ計算機は、FCと10GbE
を有しており、FCによる
スパコンストレージを常
時モニターしている。特
定のディレクトリ
(/user/gfarmなど)にファ
イルが追加された場合
に、そのファイルを自動
的に?の分散ストレージ上に転送する仕組みである。これにより、NICTまたは大阪大学のどち
らのスパコンで計算した結果も、同じ仮想ストレージ(Gfarmストレージ)上に出力される。こ
れにより、計算時にスパコンを選ばないだけではなく、CPUが空いているスパコンにジョブ投入
ができるため、負荷分散も期待できる。また、複数のスパコンに対してデータ解析環境を一元化
できるため、データ解析の効率化が期待できる。
 ?の大規模可視化については、上の?および?の環境を活かして、大規模データの可視化を行
う。具体的には、宇宙環境計測Gが行っているリアルタイム地球磁気圏シミュレーションデータ
の超高時間分解能可視化や3次元可視化のCG化などを試みた。これは、NICTの別の研究推進
ファンド(科学情報可視化プロジェクト)との共同テーマとして行ったものである。図3は、磁
気圏シミュレーションデータを、図1のクラウド環境内で可視化し、同図のTDW(タイルドデ
ィスプレー)に表示したものである。磁気圏シミュレーション可視化は、国立極地研究所および
統計数理研究所において研究開発されたバーチャルオーロラシステムをNICTにおいて大規模デ
ータ可視化用に改良したものである。具体的には、図3に示すように、3次元可視化データを自
動的にFBX形式に変換するツールの開発を行った。これにより、図4に示すようなコンピュー
タシミュレーションのCG化が低コストで実現することができるようになった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

●山本和憲、木村映善、村田健史、建部修見、松岡大祐、宮地英生、グリッドデータファームに
よる並列分散処理、情報通信研究機構季報 Vol.55Nos.1-4,pp.447-458,2009。
●松岡大祐、村田健史、藤田茂、田中高史、山本和憲、大野暢亮、3次元可視化とビジュアルデ
ータマイニング、情報通信研究機構季報 Vol.55Nos.1-4,pp.459-470,2009。
●村田健史、木村映善、山本和憲、亘慎一、加藤久雄、森川靖大、是津耕司、木俵豊、下條真司、
RDFを用いたデータ収集技法による太陽地球系科学セマンティックWeb構築の試み、情
報通信研究機構季報 Vol.55Nos.1-4,pp.471-491,2009
●Takafumi Nakanishi,Hidenori Homma,Kyoung-Sook Kim,Koji Zettsu,Yutaka Kidawara,
Yasuhi Kiyoki:A Three-layered Architecture for Event-centric Interconnections among
Heterogeneous Data Repositories and its Application to Space Weather,Proc.of the
20th European Japanese Conference on Information Modelling and Knowledge Bases
(EJC2010),Jyvaskyla,Finland,June,2010.
●森川 靖大(NICT)、山本 和憲(愛媛大)、建部 修見(筑波大)、木村 映善(愛媛大)、村田 健史(NICT)
『NICTにおけるグリードデータファーム(Gfarm)とJGN2plusによる大規模分散ストレ
ージ・並列分散処理システムの構築』、太陽地球惑星系科学モデリング・シミュレーション
関連 合同研究集会、九州大学山の家・九州地区国立大学九重共同研修所、2009/08/06
●村田 健史、亘 慎一、加藤 久雄、森川 靖大、長妻 努、石井 守、品川 裕之、久保 勇樹、久
保田 実、國武 学、秋岡 眞樹、石橋 弘光、田 光江、島津 浩哲、坪内 健、津川 卓也、陣
英克、上本 純平、中溝 葵、永原 政人(NICT)『宇宙地球環境科学のためのクラウドコンピ
ューティング』、データ科学ワークショップ、北海道大学・学術交流会館、2009/08/20
●村田 健史、下條 真司(NICT)、木村 映善、山本 和憲(愛媛大)、亘 慎一、森川 靖大、加藤 久
雄、石井 守(NICT)、『STP研究のためのサイエンスクラウドコンピューティング環境:
OneSpaceNet』、電子情報通信学会、産業技術総合研究所、2009/09/07
●國武 学、長妻 努、森川 靖大、村田 健史(NICT)『太陽地球系観測データ解析参照システム
(STARS)の地磁気プロット部分の新機能』、第126回SGEPSS総会および講演会、金沢大学、
2009/09/28
●村田 健史(NICT)『STP研究のためのサイエンスクラウドコンピューティング環境:
OneSpaceNet』、第126回SGEPSS総会および講演会、金沢大学、2009/09/28
●田 光江、久保 勇樹、村田 健史、亘 慎一、門林 理恵子、近間 正樹(NICT)、『情報通信研究
機構(NICT)の科学情報可視化プロジェクト』、「地球科学情報のGeoBrowserによる情報発
信および立体視・球面表示・仮想現実による可視化」研究会、産業技術総合研究所、2009/12/24
●森川 靖大、佐藤 建(NICT)、山本 和憲(愛媛大)、井上 諭(NICT)、建部 修見(筑波大)、木村 映
善(愛媛大)、村田 健史(NICT)、『グリッドデータファーム(Gfarm)とJGN2plusによる
NICTサイエンスクラウドストレージ』、名古屋大学 太陽地球環境研究所 研究集会、名
古屋大学、2010/02/02
●田 光江、久保 勇樹、村田 健史、亘 慎一、門林 理恵子、近間 正樹(NICT)、『情報通信研究
機構(NICT)の科学情報可視化プロジェクト』、宇宙科学所法解析シンポジウム、宇宙航空
研究開発機構 相模原キャンパス、2010/02/23
●村田、健史、亘 慎一、加藤 久雄、森川 靖大、佐藤 建、崔 超遠(NICT)、山本 和憲(愛媛大)、
木村 映善(愛媛大)、下條 真司、木俵 豊、是津 耕司(NICT)、『NICT宇宙天気インフォマテ
ィクスプロジェクトの将来計画:宇宙天気クラウド』、日本地球惑星科学連合2010年大会、
幕張メッセ、2010/05/24
●森川 靖大、佐藤 建(NICT)、山本 和憲(愛媛大)、井上 諭、坪内 健(NICT)、建部 修見(筑波大)、
崔 超遠、加藤 久雄、亘 慎一(NICT)、木村 映善(愛媛大)、村田 健史(NICT)、『Gfarmファ
イルシステムとJGN2plusによるNICT"宇宙天気クラウド"広域分散ストレージ』、日本地
球惑星科学連合2010年大会、幕張メッセ、2010/05/24
●田 光江、久保 勇樹、村田 健史、亘 慎一、門林 理恵子、近間 正樹(NICT)、『情報通信研究
機構(NICT)の科学情報可視化プロジェクト』、日本地球惑星科学連合2010年大会、幕張
メッセ、2010/05/24
●亘 慎一、村田 健史、加藤 久雄、森川 靖大、佐藤 建、崔 超遠(NICT)『NICT宇宙天気イン
フォマティクスプロジェクトの現状:OneSpaceNet』、日本地球惑星科学連合2010年大会、
幕張メッセ、2010/05/24
●坪内 健、村田 健史、森川 靖大、井上 諭(NICT)、松岡 大祐(地球シミュレータ)、山本 和憲(愛
媛大)、藤田 茂(気象

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所

海老原 祐輔

名古屋大学

門倉 昭

国立極地研究所

樋口 知之

統計数理研究所

藤田 茂

気象大学校

松岡 大祐

海洋研究開発機構