平成202008)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

20−共研−12

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

5

研究課題名

回転する円錐の表面を上昇する液膜流れの流動特性

フリガナ

代表者氏名

サトウ ナオヤ

佐藤 直也

ローマ字

Sato Naoya

所属機関

秋田大学

所属部局

大学院工学資源学研究科 博士前期課程 機械工学専攻

職  名

大学院生

 

 

研究目的と成果の概要

本研究では,市販の加湿器で使われている流体の吸い上げ方式に着目する.この吸い上げ方式の一つに円錐型のコマを利用したものがある.コマを水に浸し回転させると,回転しているコマの表面に沿って水が上昇していく.そこで,本研究では,この現象に着目し,コマ表面の液膜流が様々な条件下でどのような挙動を示すかを数値計算と実験により明らかにする.

本研究で用いる計算プログラムでは,気相と液相が共存する気液二相流れを取り扱っており,気液界面が計算の進行につれて変化する移動境界値問題となっている。プログラム中では,この界面での位置決定や境界条件の設定等で複雑な条件分岐を行っており,そのことが並列化やベクトル化の阻害因子になっている。中でも,圧力に関するポアソン方程式の反復計算で,界面での境界条件を設定する必要があり,全体の約40%の計算時間を費やしている。この部分では並列化の効率が特に悪いので,MPI(Message Passing Interface) を導入した計算の高速化を図っているところであるが,予想したような性能が得られておらず,さらなる高速化への取り組みが必要である。

 その解析プログラムと統計数理研究所のスーパコンピュータを用いることにより,流れの場を支配する無次元パラメータやコマの先端角などの無次元幾何形状パラメータを変更し,数値計算を行う。流れのパターンや圧力分布を求め,無次元パラメータとの相関を表す整理式を導出する。さらに,実験的な研究も行う予定である。