平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−14

専門分類

1

研究課題名

多変量指数分布のパラメトリック族の構成とその推測

フリガナ

代表者氏名

タカハシ リンヤ

高橋 倫也

ローマ字

所属機関

神戸商船大学

所属部局

商船学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

信頼性理論や極値理論では多変量指数分布は最も重要な分布である。ところが、多変量指数分布には自然なパラメトリック族は存在しないし、また今までに提案されているパラメトリック族は理論的にも応用上も満足のいくものでない。
そこで、本研究では物理的現象の統計モデルを作りそれに適合するようなパラメトリック族の構成と、それに関する推測問題について研究する。


本年度は多変量分布に関する推測問題について、次のテーマで研究を行った。
1)多変量指数分布に関連する分布として、多変量極値分布がある。柔軟な多変量指数分布族の中で変数間の従属性が多変量極値分布と同じものがある。そこで、多変量極値分布の性質とそのパラメトリック族の推測について調べた。また、極値理論の応用としてStereologyの問題について研究を行った。
2)多変量分布についての研究として、判別分析に取り組んだ。判別分析における尤度比法にもとづく判別統計量はWald流の母数推定による構成と、Anderson流の判別すべき観測値を取り入れた検定方式による構成とに大別されている。最近予測尤度の研究の進展にともなって、その応用方面に判別問題も取り上げられた。それは、観測値そのものを判別するのではなく、尤度比を評価することによって観測値の判別に帰着しようという考え方である。この尤度比を判別不定の領域を設けるように評価する事を考えている。それにより判別した結果の信頼度を確率的に付与する事が出来るのではないかと思っている。この予測尤度に基づく判別解析をFisherのIris dataに対してシミュレーション実験で検証しながら理論展開を進めている。
3)多変量尺度混合正規分布の漸近展開を行った。この漸近展開を利用して、多変量尺度混合正規分布の近似式の正確な誤差評価式を得た。つまり、多変量尺度混合変量の分布関数を多変量正規分布のまわりで展開することによる近似式を与え、その誤差項の上限を評価する式を与えた。これにより、この変量が任意のボレル集合に含まれる確率と、この近似式を使って求めた近似の確率との差の上限が評価できるようになった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

R.Takahashi,Asymptotic independence and perfect dependence of vector compornents of multivariate extreme statistics,Statist.Probab.Letters 19,No.1,1994.
高橋倫也,極値統計量の漸近理論について,数学 46・1,1994.

R.Takahashi, Note on domains of attraction of multivariate extreme value distributions,CONFERENCE ON EXTREME VALUE THEORY AND ITS APPLICATIONS, 1993年5月4日.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成2年度からの統計数理研究所での共同研究で、清水は尺度混合変数の分布についての研究、山口は判別分析における分布についての研究、高橋は極値分布についての研究という課題を設け、正の値を持つ分布と多変量指数分布について研究と討論を行ってきた。これらの研究経過をふまえて、多変量信頼性データや多変量極値データ解析のモデルとなる多変量指数分布のパラメトリック族で理論上でも応用上でも満足のいくものの構成とその分布族に関する推測問題についての研究を行いたい。
清水は最近多変量分布に関心を払っていて、山口と高橋との研究討論に興味がある。また、山口、高橋にとって清水のコメントは研究を発展させる良い刺激になっている。さらに、研究所には文献資料が完備し多くの統計研究者がおられる。そこで、この共同研究をぜひ継続したい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

清水 良一

統計数理研究所

山口 光代

福井大学