平成182006)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

18−共研−4

専門分類

5

研究課題名

1/fゆらぎによる計算万能セルオートマトンの探索

フリガナ

代表者氏名

ニナガワ シゲル

蜷川 繁

ローマ字

Ninagawa Shigeru

所属機関

金沢工業大学

所属部局

工学部

職  名

助教授

所在地

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研究目的と成果の概要

ライフゲームは2次元2状態9近傍セルオートマトン(Cellular Automaton; CA)の1種であり,セル平面上で計算機が構成できることが知られている.このように計算万能性を備えたCAを計算万能CAとよぶ.さらに1次元2状態3近傍CA(単純CA)においてルール110とよばれるものも,計算万能であることが証明されているが,これについても,パワースペクトルが1/fゆらぎを示すことが代表者によって発見されている.これらのことから,CAにおける計算万能性と1/fゆらぎとの間に何らかの関連性があると予想される.本研究では,計算万能CAを発見することをめざして,2次元3状態9近傍CAにおいて1/fゆらぎを示すものを探索する.探索の対象となるCAは,全部で318=約2.59×1064個あるため,全数探索は現実的ではない.そこで1/fゆらぎという特徴に注目し,遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて1/fゆらぎ型2次元CAを探索する.具体的にはランダムな初期様相から出発した場合のセルの変化のパワースペクトルから最小2乗法によってパワースペクトルの傾きと残差平方和を求め,それらから適応度を求め,GA操作を繰り返すことにより1/fゆらぎを示すCAを求める.現在,統計数理研究所のスーパーコンピュータのほか,申請者の所属機関の研究室や教室にあるコンピュータ利用して探索を行なっている.
 パワースペクトルの形は測定ステップ数Tによって変化するため,T=7200とT=8000の2通りの場合について実験を行っている.T=7200の場合については現在までに79通りの集団に対してのべ4307世代まで,T=8000の場合については現在までに20通りの集団に対してのべ962世代まで,それぞれ計算が終了している.現在はまだ計算途中であるが,もっとも高い適合度をもつCAはライフゲームのように複雑な動きをすることから,本手法の有効性が確認されつつあるといえる.今後は各初期集団に対して100世代まで,計算を行う予定である.