平成152003)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

15−共研−2040

専門分類

7

研究課題名

看護における物語と対話の効果

フリガナ

代表者氏名

シバタ ヨシサダ

柴田 義貞

ローマ字

Shibata Yoshisada

所属機関

長崎大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【研究目的】
 人間はそれぞれ自分の「物語」を生きており、「病気」もまたその物語の一部である。自分のこれまでの生
き様を他者に語ることは、その人自身の自尊感情を高め、意識を拡張させ、肯定的な健康パターンを促す治療
的意味があるといわれている。
 生活史聞き取りとは、個人の思考と経験を年代的な流れを追ってその人独自の視点からとらえる専門的な方
法であり、主観的・客観的生活体験をその人の記憶や回想をもとに自己開示させる方法である。
 本研究では、老人保健施設入所者を対象に行われた生活史聞き取りで得られたデータについて、テキスト型
データ解析による分析を行い、生活史聞き取りの老年看護における評価に関して、従来の結果と比較検討する
ことを目的とする。
【研究経過】
 脳梗塞片麻痺にて病院から老人保健施設に入所して間もない女性(71歳)の生活史聞き取りのデー
タを分析した。脳梗塞にて入院中に三男が自殺しており、その事実は長男から老人保健施設に入所する
際聞かされている。
 生活史聞き取り開始当初は、聞き取りに対する喜びも含め、5回にわたる聞き取りの中で、本人の口
から「うれしい」が18回、「よい」が8回でる一方、三男のことや在宅と今後の方向を話す中で泣き
だしたりし、また、病院と老人保健施設の環境の違いに戸惑う言葉(ショックなど)が多くでていた。
 しかし、聞き取りの回数を重ねるうちに、母親のことを話せたことの喜びを含め、9回にわたる聞き
取りの中で、「うれしい」が28回、「よい」が20回、「しあわせ」、「楽しみ」がそれぞれ3回、本人
の口からでた。そして、現在の施設での生活にも慣れた様子が観察された。
 この聞き取りの終期には、施設の職員(医師、看護職、介護職)から本人が明るくなってきたと言わ
れたという話しが頻繁に口にされるようになってきた。
 方言が多く、またテープ起こしのデータであるため、データのクリーニングに時間がかかり、1人の
データしか分析できなかったが、生活史聞き取りが看護における一つの有効な方法であることが示唆さ
れた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 昇

統計数理研究所 

鷹居 樹八子

長崎大学

本田 純久

長崎大学