平成111999)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

11−共研−1003

専門分類

1

研究課題名

非可換確率空間における分布論に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ヒロアキ

吉田 裕亮

ローマ字

Yoshida Hiroaki

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

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E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ヒルベルト空間上の有界線形作用素のなす代数、いわゆる作用素環の理論を用いた、非可換確率
空間(量子確率空間)における分布に関する研究、特に、分布のq-変形についての研究を行った。
本研究では量子確率論で重要な役割を果たすFock空間のq-変形を基本的なヒルベルト空間に採
用した。このq-Fock空間を用いた正規分布のq-変形は既に、議論され、構成されている。これ
は独立性の概念を自由性と置き換えた自由確率空間と両立する。ここで、両立するとは、q=1の
場合に通常の確率論の分を復元し、q=0の場合に自由確率論の半円分布を実現すると言う意味で
ある。本研究ではこの正規分布のq-変形を基にPoisson分布のq-変形を考えることをした。特
に隣接3項間の関係式で定義される多項式列の直交化確率測度として、確率分布を与えることを最
初に行った。通常のPoisson分布はCharier多項式の直交化確率測度として与えられるので、こ
のq-変形を行うことでPoisson分布を定義し、この漸化式に基づき確率測度を具体的に書き下す
ことが出来た。この結果、一般に連続なスペクトル部と点スペクトル部があり、さらに絶対連続な
部分に関しては密度関数を与えることに成功した。次にこの漸化式を基にq-Fock空間上の生成・
消滅作用素で、この分布を実現する作用素を与えることに成功した。この生成・消滅作用素で構成
される作用素を見ると既に知られている通常のPoisson分布(q=1)の自然なq-変形になって
いることが判明した。これらに関しては国内の関連研究会で発表を行い、学術雑誌に掲載され、あ
るいは掲載予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

The orthogonal polynomials for a linear sum of a free family of projections,
Infin.Dimens.Anal.Quant.Probab.Relat.Top.2(1999)627-643.
A q-deformed Poisson distribution based on orthogonal polynomials,
J.Phys.A:Math.Gen.33(2000)1435-1444.
q-deformed Poisson random variables on q-Fock space
To appear in J.Math.Phys.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市原 亮

奈良工業高等専門学校

梶原 毅

岡山大学

河上 哲

奈良教育大学

渚 勝

千葉大学