平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−49

専門分類

6

研究課題名

地殻変動データの高精度抽出

フリガナ

代表者氏名

タカナミ テツオ

高波 鐵夫

ローマ字

所属機関

北海道大学

所属部局

理学部

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

各種の地殻変動が地震活動に関連して変動していることが次第に明らかになってきた。しかし、一般に生の観測データはノイズに埋もれ、地震に関係した成分を識別するのが困難である。ここでそれを如何に精度よく抽出するか、そのための統計的モデリングについて研究する。


潮位資料は、連続記録であるから地殻変動の時間経過を追跡することができる。地殻変動の様子を詳細に見ようとする時は月平均値がよく用いられるが気象、海象の影響による変動がノイズとして含まれる。これを取り除くために、例えば2点の検潮所間の潮位差が利用される。しかし、そのままでは余りにも不規則変動が大きく、地震前の異常な地殻変動の有無を議論するのが難しい。
本研究では、1993年北海道南西沖地震時の潮位差データに季節調整モデルを当てはめる実験を試みた。その結果、トレンド成分から地震発生前の1986年から1989年にかけて明瞭な変化(約2cm)を検出することが出来た。半年周期の成分(約1cm)が確認できた。また欠測期間はKALMAN FILTERを利用して効果的に対処した.
今回の研究を通じて、S/Nが0.4と小さな信号比であっても異常を明瞭に検出する事ができることを確認できた。他の地震時の異常な潮位変化の有無を調査するために、引き続き平成11年度も地殻変動データの高精度抽出法の開発で共同研究を申請した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高波鐵夫、1993年北海道南西沖地震前の静穏化、1998年地球惑星関連学会合同大会予稿集、1998年.
T. Takanami, High precision estimation of seismic wave arrival times, Practice of Time Series Analysis, eds. H. Akaike and G. Kitagawa, Springer-Verlag, New York, 1998.
高波鐵夫、1993年北海道南西沖地震前の静穏化、1998年地球惑星関連学会合同大会、1998.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

地震前の検潮記録と水準測量データから地震に関連した地殻変動成分を高精度で抽出する。そのために、大きな地震前の地殻変動観測データを収集した。すでにこれらのデータから地震に関連する異常な地殻変動が見いだされた。しかしこの変動の詳細な状態を知るためには、地殻変動に関係する要因を知る必要が要る。実際の記録は、その影響で大変複雑なデータとなっている。そこで各種の成分を分離し、地震に関係した地殻変動成分を精度よく抽出するための統計的手法を開発する。この手法を数多くの実際の地殻変動データに適用し、地震前の地殻前兆現象を求める。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所