昭和621987)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

62−共研−49

専門分類

5

研究課題名

確率過程とその周辺

フリガナ

代表者氏名

ナミキ ミキオ

並木 美喜雄

ローマ字

所属機関

早稲田大学

所属部局

理工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

19 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

昭和61年12月に,本研究会はスーパーコンピュータ・グループと合同で「確率過程とスーパーコンピュータ」という研究会を開催した。コンピュータ・グループの参加があって,計算技術面での補強があったが,性格は正に「確率過程とその周辺」にあった。すなわち,理工系の各分野で個別に行われている確率過程または確率分布などについての研究を集めて,知識や技術の交流を行い,次の段階への発展を図るというものである。61年度の研究会はこの目標に向ってかなりの成果をあげることができたと思う。62年度においても,この趣旨に沿った発展を望んで研究会を提案する。具体テーマとしては,確率過程量子法の場の理論や物性物理への適用と発展,無限次元解析による確率過程論の基礎づけ,各種の非線形雑音解析などが考えられる。


確率過程は物理学,工学(あるいは社会科学的現象)の各分野において広く見られるものである。しかし,各分野の専門家が独立に研究していて相互間の交流があまりない,また,数学的解決についても,かなり多くの研究があるにも拘らず,現場研究者に知られていない,本研究会はそのような状況を打開し,分野横断的な交流討論を行うために計画されたものである。特定の専門分野の共同利用研究所が多い中で,統計数理研究所は統計現象の分析をテーマに掲げた横断的性格をもつ研究所として特色がある。本研究会はその特色に沿うものであり,一応の成果をあげえたと信じている。今後も御支援を期待する。
さて,今回の研究会では別表のような発表があった。数学側からは超準解析の手法を確率過程論に合うように簡単化した定式化が提出された。これは確率微分がライプニッツ則を破ることの精密化であり,物理などへの応用が考えられる。
物理側からは,確率量子化や臨界現象の理論分析や数値シミュレーション,各種の問題における確率過程とそれに即した解析方法などの話があった。一見したところでは,かなり違う現象の中によく似た確率過程および臨界現象があり,今回改めて相互交流の重要性を認識した。
これは物理だけの話ではない,工学側からは,今度の研究会では,中性子雑音解析による原子炉の動特性診断の理論と実際が報告されて興味をよんだ。これは物理的確率過程に関係があるばかりでなく,もっと一般的な時系列問題としても面白い応用例である。この種の分析は恐らく広い工学的−−あるいは社会現象への−−応用が見込れよう。
その他,直接確率過程に関係ないものの,物理学の基礎法則における統計性についての議論などがあった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

いずれも,極く最近関連する学会や雑誌に発表されたものか,これから発表予定のものである。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大貫 義郎

名古屋大学

大場 一郎

早稲田大学

小柳 義夫

東京大学

柏 太郎

九州大学

近藤 慶一

名古屋大学

斉藤 公明

名城大学

鈴木 尚通

松商学園短期大学

鈴木 増雄

東京大学

田辺 國士

統計数理研究所

田村 義保

統計数理研究所

中村 孔一

明治大学

長谷川 洋

福井大学

馬場 康維

統計数理研究所

飛田 武幸

名古屋大学

美谷島 実

信州大学

松縄 規

統計数理研究所

森島 信弘

京都大学

保江 邦夫

ノートルダム女子大学