平成111999)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

11−共研−2064

専門分類

9

研究課題名

環境動態解析に於ける統計的認識論の展開とその実証的研究

フリガナ

代表者氏名

イワセ コウセイ

岩瀬 晃盛

ローマ字

Iwase Kosei

所属機関

広島大学

所属部局

工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

1 はじめに
本共同研究の研究目的として以下の項目を掲げた。
1.何を知りたいか。
 1.水質等の長期的な変動を判断すること。
 2.水質そのものの計測方法から派生する検出限界等の処理に関する知見
を得ること。
2.どのように知るのか。
 1.実測数値データに基づいて判断すること。
 2.数理統計学的考察をすること。
3.知ってどうするか。
 1.将来的には官民への効果的な影響の実現を目的とする。
これら目的に沿って以下にその研究の概略を述べる。
2 水質等の長期的な変動を判断すること
 キノンは呼吸鎖における電子伝達系物質の一つであり、ユビキノン、メナキノ
ン、プラストキノン、ビタミンK1(フィロキノン)等がある。一般に、ユビキ
ノンは好気性呼吸、メナキノンは嫌気性呼吸、そして、プラストキノンとビタミ
ンK1は光合成にそれぞれ使われる。微生物に特定なキノン種を有していること
から、混合培養系におけるキノン分子種の数、種類とその存在比、すなわちキノ
ンプロフィルの変化は微生物群集構造の変化を表している。キノンプロファイル
法は、微生物群集構造の変化を解析できる簡便、かつ有効な方法として、その利
用が広がりつつある。
 キノンプロファイルのデータを用い、キノンプロファイルの季節毎の分類を行っ
た。解析の対象としたデータは21項目のキノンに関する測定値と7項目の処理
施設操業条件の兄8項目を、1996年10月から1997年9月までの12ヶ
月間に渡り計測したものである。このデータを用い、12ヶ月間を季節毎に分類
し、その分類に有用であるキノンの測定項目を探索した。
 季節変動のグラフを考察することにより、1年間で右上がりの傾向を見せてお
り、これは酸素濃度にはトレンドがあることが予想される。ユビキノンのグラフ
より若干ではあるが季節変動があるように見える。
 キノンプロファイルのデータに階層型のクラスター分析を適用した。用いた距
離は標準ユークリッド距離、用いた手法は最長距離法、最短距離法、群間平均法、
群内平均法、重心法、ワード法、メジアン法である。
 (1)全キノン21項目の存在比に階層型のクラスター分析を適応した。
 (2)全キノン21項目の測定値に階層型のクラスター分析を適用した。
 (3)メナキノンの測定値に階層型のクラスター分析を適用した。
 (4)Q-8,Q-9,Q-10の3項目の測定値に階層型のクラスター分析
を適用した。
 (5)(4)において、2月のデータを修正したデータに階層型のクラスター分
析を適用した。
 これらの観点より季節変動を考察したものである。
3 水質そのものの計測方法から派生する検出限界等の
 処理に関する知見を得ること
 環境科学の分野における物質濃度の計測に於いて,新たな各種計測方法の開発
および計測機器の発達は素晴らしいものがあり,基本的にはこれら固有科学ある
いは固有技術によって大きく今後も開拓されていくものと期待される。しかしな
がら,如何にこれらの進展が見られても相対的には計測誤差および計測限界から
逃れられないものである。本研究では環境動態解析に於いて基本となる「事実の
認識」に関わる計測での検出限界を伴う現象に対して統計学的認識方法に焦点を
絞って理論的な成果の確認と方法の列挙,並びにこれらを適用すべきデータに関
する検証を行うものである。
 認識方法について大きく分けて二つの立場がある。
 1.記述統計としての(即ち母集団を想定しない)検出限界を伴うデータの解析
 2.統計的推測を前提とする(即ち母集団を想定しての)検出限界を伴うデー
タの解析
 勿論,母集団を想定しない1の立場でも最終的には母集団を想定しての作業に
入らざるを得ないであろうけれども,方法の直接的な前提条件としては便宜的に
このように分けた方が混乱が起こらないものと思われる。
 検出限界にも或る値以下又は或る値未満の計測値が得られない場合と或る値以

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

「環境動態解析に於ける統計的認識論の展開とその実証的研究」統計数理研究所共同利用研究
(11?共研?2064)平成12年3月 pp.1-99

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岡田 光正

広島大学

小野 芳朗

岡山大学

金藤 浩司

統計数理研究所

川崎 能典

統計数理研究所

馬場 康維

統計科学研究所

樋口 知之

統計数理研究所

藤江 幸一

豊橋技術科学大学