平成182006)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

18−共研−2035

専門分類

7

研究課題名

照葉樹林のギャップ動態と樹木更新−特定種の遺伝構造によるアプローチ

フリガナ

代表者氏名

シマタニ ケンイチロウ

島谷 健一郎

ローマ字

SHIMATANI Kenichiro

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

80千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は、2004年度からの共同利用研究2「照葉樹林のギャップ動態と樹木更新を抽出できる野外調査法と統計解析」(16-2034 及び17-2041)の延長線上に位置し,ギャップ動態とギャップ形成後の樹木更新を基本単位とした,天然林の構造・動態特性の把握・評価を目的に置く。
多様な再生段階にある小斑(パッチ)の集合体である極相林は、従来、フィールドデータから得られた構造・動態パラメータを平均して評価してきた.それに対し上記共同利用研究では,様々な発達段階にある代表的パッチを正確に抽出する方法をまず確立させる.次に、各パッチにおける樹木集団の構造・動態を詳細に調査し、さらにそれによって得られた樹木群集の構造・動態パラメータを数理的により適切に評価することによって、天然林の構造・動態をより正確に把握しようと企てた.
 2年にわたる研究を経て,ギャップ形成に敏感に反応する特定種が浮かび上がり,その種をより広い範囲でより小さい個体から精査することの意義を強く認識させられた.そこで,本研究では,その種のDNA分析も含めて他の種より優先して調査を行う事で,固有の花粉散布・種子散布パターンに始まり,ギャップ形成に大きく左右されるその種の生活史を考察する.並行して、こういった諸関係を検出できる記述的統計とモデリング法を開発し、特定種の遺伝構造を含む個体群動態を鍵にして,森林群集の維持機構解明に向けた議論を展開する。


2006年4月 推移行列モデル学習会(統計数理研究所)参加者6名
2006年5月 現地野外調査、研究打ち合わせ 4名
2006年6月 現地野外調査、研究打ち合わせ 5名
2006年8−9月 マイクロサテライトマーカー(イヌガシ)開発実験
2006年7月−2007年2月 マイクロサテライト(カクレミノ)分析実験
2006年12月 現地野外調査 研究打ち合わせ 参加者4名
2007年3月 現地野外調査 研究打ち合わせ 参加者4名

 イヌガシについては、マルチバンドがひどく、倍数体の疑いが持たれた。カクレミノについては9マーカーの分析を終了させた。また両種における現地追加測定も引き続き行われ、詳しい実生動態及び樹幹形がデータ化されつつある。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

<論文など>

島谷健一郎 ベイズ型ノンパラメトリック推定の森林生態学への応用例。 第2回生物資源の数理モデリングシンポジウム。東京大学。2006年8月

島谷健一郎 ベイズ型ノンパラメトリック推定法を用いた成長解析例。日本生態学会 松山。2007年3月

Shimatani, K., Kawarasaki, S., and Manabe, T. (2007a) Describing size-related mortality and size distribution by nonparametric estimation and model selection using the Akaike Bayesian Information Criterion. Ecological Research (DOI: 10.1007/s11284-007-0375-y)

Ichiro, K. S., Kubota, Y., Araki, K., Aikawa, S., and Manabe T. (2007) Matrix models using very fine size classes and their applications to population dynamics of tree species: Bayesian nonparametric estimation. Research Memorandum 1007, The Institute of Statistical Mathematics, 09/15/2006.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

相川 真一

森林総合研究所

河原崎 里子

情報・システム研究機構

真鍋 徹

北九州市立自然史・歴史博物館

練 春蘭

東京大学