平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2014

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

計量学習を用いた電離圏電場ポテンシャルパターン検索エンジンの開発

フリガナ

代表者氏名

サイタ サトコ

才田 聡子

ローマ字

Saita Satoko

所属機関

情報・システム研究機構

所属部局

データ中心科学リサーチコモンズ事業

職  名

特任研究員

配分経費

研究費

40千円

旅 費

62千円

研究参加者数

6 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

この研究の目的は次世代磁気圏電離圏シミュレーション(Tanaka et al., 1995, 2000, 2010)について、シミュレーションから得られる計算値と観測値の比較に画像解析を用いた内部境界における磁気圏電離圏結合モデルの検証である。
今年度は共同研究者との意見交換を行い、計算値と観測値の比較に電離圏プラズマ対流速度を用いることを決めた。
人工衛星ACEで観測された太陽風パラメータを外部境界パラメータとして与え、シミュレーションを実行し、シミュレーション結果から得られる電離圏プラズマ対流速度について観測値と計算値の比較検証を行った。

再現を試みた期間は2012年9月11日11:00-14:00の期間である。太陽風中の磁場は安定し太陽風風速も低速であった。太陽風中の磁場が南向きであったことから対流活動は活発だったと考えられる。
しかし、この期間はサブストームは活発ではなく、SuperDARNレーダーデータとの比較が容易であろうと期待した。
シミュレーション結果から電離圏ポテンシャル、磁場分布を計算し、電離圏プラズマ対流を求めた。
この結果をもとに同じ期間にSuperDARNレーダーで電離層エコーをとれた座標における電離圏プラズマ対流速度を再現した。
さらに電離圏プラズマ対流速度とSuperDARNレーダーの視線方向のベクトルの内積をとり、SuperDARNレーダーのドップラー速度を再現した。

こうして得られた計算値とSuperDARNから得られた観測値を比較すると、計算値から得た電離層電位分布と磁場分布から予想されるプラズマ対流速度とは一致しない箇所がある。
特にKing Salmonで観測されたレーダーから遠ざかる方向の強いドップラー速度成分はその領域におけるサブオーロラ分極流(SAPS)と呼ばれる現象による、電離層電気伝導度勾配を反映したドップラー速度の変動である可能性がある。SAPSの一般的な特徴についての統計的は [Erickson et al., 2011; JGR]などに詳しい。
もしくは、背景対流構造が大きく異なる可能性もあるため、経験値的な極域電離圏プラズマ対流速度モデルとの比較も必要と考える。
今後は観測値に近い計算値を得られるようにモデルパラメータの最適値を推定するため、もっと観測値に近い計算値を得られるようにモデルパラメータの最適値を推定する
ひたすらパラメータを変えて計算し、10分後の計算値と観測値を比較することでパラメータサーベイを行う。このときの計算値と観測値の比較のためにに計量学習を用いた電離圏電場ポテンシャルパターン検索エンジンの開発を進めて、これを活用したいと考える。
また、今後は電離圏電場ポテンシャルだけでなく、他の物理量に対しても画像解析を用いた比較をを検討する。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

SuperDARNHFレーダーによる電離圏対流を用いた磁気圏電離圏結合シミュレーションのモデルパラメータ推定
電離圏プラズマ対流速度の計算値と観測値との比較による 次世代磁気圏-電離圏結合系シミュレーション 内部境界モデル改良の研究
才田聡子 (情報・システム研究機構), 藤田茂(気象大), 門倉昭(極地研),
田中高史(九州大), 行松彰(極地研), 田中良昌(極地研),
大谷晋一(JPU/APL), 村田健史(NICT), 樋口知之(統数研)
平成25年度名古屋大学太陽地球環境研究所 研究集会 「電磁圏物理学シンポジウム」 2014年3月18日

次世代磁気圏電離圏結合系シミュレーションと IUGONET開発ツール(UDAS)との連携による 電離圏プラズマ対流速度の計算値と観測値の比較
才田聡子 (情報・システム研究機構), 藤田茂(気象大), 門倉昭(極地研),
田中高史(九州大), 行松彰(極地研), 田中良昌(極地研),
大谷晋一(JPU/APL), 村田健史(NICT), 樋口知之(統数研)
平成25年度名古屋大学太陽地球環境研究所 研究集会 「太陽地球環境メタデータ・データベースによる時空間変動の学際研究」 2014年3月14日

電離圏プラズマ対流速度の計算値と観測値との比較による 次世代磁気圏電離圏結合系シミュレーションのデータ同化 経過報告
才田聡子 (情報・システム研究機構), 藤田茂(気象大), 門倉昭(極地研),
田中高史(九州大), 行松彰(極地研), 田中良昌(極地研),
大谷晋一(JPU/APL), 村田健史(NICT), 樋口知之(統数研)
電離圏・磁気圏モデリングとデータ同化 2014年3月4日

磁気圏電離圏結合シミュレーションと SuperDARN HF レーダデータを用いた 電離圏プラズマ対流速度の計算値と観測値との比較
才田聡子 (情報・システム研究機構), 藤田茂(気象大), 門倉昭(極地研),
田中高史(九州大), 行松彰(極地研), 田中良昌(極地研),
大谷晋一(JPU/APL), 村田健史(NICT), 樋口知之(統数研)
第1回データ同化応用研究会 2014年2月7日

SuperDARN HF レーダーによる電離圏対流を用いた 磁気圏電離圏結合シミュレーションモデルのパラメータ最適値推定
才田聡子 (情報・システム研究機構), 藤田茂(気象大), 門倉昭(極地研),
田中高史(九州大), 行松彰(極地研), 田中良昌(極地研),
大谷晋一(JPU/APL), 村田健史(NICT), 樋口知之(統数研)
第4回極域科学シンポジウム 2013年11月15日

SuperDARNHFレーダーによる電離圏対流を用いた磁気圏電離圏結合シミュレーションのモデルパラメータ推定
才田聡子 (情報・システム研究機構), 門倉昭(極地研), 藤田茂(気象大), 田中高史(九州大), 行松彰(極地研), 大谷晋一(JPU/APL), 村田健史(NICT), 樋口知之(統数研)
地球電磁気・地球惑星圏学会第134回総会・講演会 2013年11月2日 地球電磁気・地球惑星圏学会(SGEPSS)

グローバルMHDシミュレーションモデルの磁気圏電離圏結合領域におけるパラメータ感受性
才田聡子 (情報・システム研究機構), 門倉昭(極地研), 藤田茂(気象大), 田中高史(九州大), 行松彰(極地研), 大谷晋一(JPU/APL), 村田健史(NICT), 樋口知之(統数研)
日本地球惑星科学連合2013 2013年5月23日
地球電磁気・地球惑星圏学会第134回総会・講演会 2013年11月2日 地球電磁気・地球惑星圏学会(SGEPSS)

グローバルMHDシミュレーションモデルの磁気圏電離圏結合領域におけるパラメータ感受性
才田聡子, 門倉昭, 藤田茂, 田中高史, 行松彰, 大谷晋一, 村田健史, 樋口知之
日本地球惑星科学連合2013 2013年5月23日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究打ち合わせ
テーマ:次世代磁気圏-電離圏結合系シミュレーション 内部境界モデル改良の研究
日時:2014年3月6日
場所:統計数理研究所 打合せ室
参加者数:6名

研究打ち合わせ
テーマ:次世代磁気圏-電離圏結合系シミュレーション 内部境界モデル改良の研究
日時:2014年2月27日
場所:統計数理研究所 5Fラウンジ
参加者数:2名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北村 健太郎

徳山工業高等専門学校

田中 良昌

情報・システム研究機構

中野 慎也

統計数理研究所

藤田 茂

気象庁

行松 彰

情報・システム研究機構