平成232011)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

23−共研−2052

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

3

研究課題名

新生児の自発運動の解析

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

Nakano Junji

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

91千円

研究参加者数

6 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 生まれて間もない時期の乳児の動き(General movements、GMs と呼ばれるものも含む)に、脳神経系の発達過程が反映されているという考え方は、小児神経学の分野から報告されており、さらに乳児の全身の動きには正常なパターンと異常なパターンがあることも示されている。この動きを観察し乳児の診断を行う方法は非侵襲的で、乳児に負担をかけることがなく何度も繰り返し行えるという利点がある。しかしこの診断法における評価は定性的であり、臨床場面で実用的な段階にあるとは言いがたい。そこで乳児の自発運動の客観的・定量的な評価方法の確立とともに、その背後にある運動発達のメカニズムを明らかにすることが強く求められている。
 本研究では定性的に定義されるハイリスク乳児の自発運動の特徴を,時系列解析や非線型予測法などを用いて定量的に捉えることを目標にしている。また極低出生体重児 (very low birth weight infants; VLBWI)における予定日前後のwrithing general movements(以下writhing GMs),および修正2ヵ月時点のfidgety general movements(以下fidgety GMs),それぞれでのGMs評価の発達予後予測の信頼性についても解析する。
 我々は、VLBWI児におけるwrithing GMs,およびfidgety GMsを撮りため,さらに予定日前後におけるGM診断で異常性が認められた対象児の3歳と6歳時点のフォローアップデータを蓄積してきた。3歳時点での診断において,脳性麻痺や広汎性発達障害などの発達障害児が含まれることが明らかになった。また2回のGMsの撮影が可能であったデータ数はまだ少ないものの、fidgety GMsがより発達予後予測診断には重要である可能性を指摘してきた。
 本年度の解析として、(1) 新生児期(予定日前後)にビデオカメラで撮影した62症例のGMs (Writhing GMs)画像を観察・評価,(2) 満期後 2ヶ月の時点に撮影した40症例のGMs (Fidgety GMs)画像を観察・評価,(3) 3歳時健診,6歳時健診の結果とWrithing GMsおよびFidgety GMs評価との関連性の調査,を行った。その結果、Fidgety GMs評価と6歳時健診での予後診断名との関係において高い関連性を示していることがわかった。さらに、Fidgety GMs評価基準の細分化も試みた。その細分化を複数の診断者で試験的に利用し、評価の一致する項目、そうでない項目などを統計的に解析しているところである。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

H. Nakano, H. Kihara, R. Takaya, G. Taga, J. Nakano, Y. Konishi, The relationship between fidgety general movements (GMs) and developmental outcome in the low birth weight infants. 16th International WCPT (World Confederation for Physical Therapy) Congress, 20-23 June 2011, Amsterdam, Holland におけるポスター発表

H. Kihara, H. Nakano, R. Takaya, G. Taga, J. Nakano and Y. Konishi, Predicting outcomes by using writhing general movements (GMs) of preterm infants. 16th International WCPT (World Confederation for Physical Therapy) Congress, 20-23 June 2011, Amsterdam, Holland におけるポスター発表

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

共同研究打ち合わせ・2012年1月28日10:00-17:00・八重洲ダイビルサテライトオフィス・7名

共同研究打ち合わせ・2012年3月10日10:00-17:00・八重洲ダイビルサテライトオフィス・6名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木原 秀樹

長野県立こども病院

小西 行郎

同志社大学

多賀 厳太郎

東京大学

高谷 理恵子

福島大学

中野 尚子

杏林大学