平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−103

専門分類

8

研究課題名

日米の女性運動の比較研究

フリガナ

代表者氏名

カマノ サオリ

釜野 さおり

ローマ字

所属機関

国立社会保障・人口問題研究所

所属部局

人口動向研究部

職  名

第2室長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は、事例研究に留まっている女性学の研究に統計的手法を取り入れ、特に日本とアメリカに焦点を絞って、1)女性運動の状況、2)女性学の教育と研究の実態、3)様々な社会調査に反映されているジェンダーの概念のありかたを比較することである。女性学の分野に統計的な視点を取り入れることは、学際的であるという共通点を持つ女性学と統計学の両分野の拡張と発展に貢献できると考えられる。


本研究では、日米の女性運動の比較を目的にする研究の一環としてさまざまな側面からアプローチをつづけている。
本年度は、女性学や女性運動の中で育まれている思想が一般社会の中にどのように浸透しているのか(またはいないのか)に焦点を当て、一般の社会調査の調査項目ならびにその回答からそれを読み取った。
1970年から1995年の間に政府や民間企業が行ってきた意識調査の質問項目自体を問題視し、それをテキストとして、質問を設定した側のジェンダーに対する思想、バイヤス、考え方を分析した。
例を一つあげると、家事の分担についての意識をたずねた質問では、選択肢が、「妻中心で行なうべきである」に代表される女性中心型、「男性が主に担う」の男性中心型、「男性と女性で均等に分担する」という類の平等分担型、「就労時間や収入に応じてやる」などの分担規則型「やりたい人がやる」といった個人嗜好型に分類できるが、それぞれに分類された選択肢は、順に16、6、9、2、3で、選択肢だけを見て家事は女性中心で行なう、という考えを強調しているものが多いことがわかった。
今後は、本研究の知見を活かし、いかにしてバイヤスを小さくする質問をつくるかについて検討を行なう。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

釜野さおり、コー・ダイアナ「意識調査の質問文と選択肢の中のジェンダー・バイヤス」
第70回日本社会学会大会、1997年11月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成7年度、8年度は、女性運動団体の分類法に基づいて、現在日本で活動している女性団体を、活動内容、目的、根底にあるイデオロギーなどによって分類した。さらに、日本の大学に於いての女性学教育の情報を収集し、系統的に分類し、女性運動全体の記述を試みた。本年度は、女性学や女性運動の中で育まれている思想が一般社会の中にどのように浸透しているのか(またはいないのか)に焦点を当て、一般の社会調査の調査項目ならびにその回答からそれを読み取る。例えば、過去に政府や民間企業が行ってきた意識調査の質問項目自体を問題視し、それをテキストとして、質問を設定した側のジェンダーに対する思想、バイヤス、考え方を読みとり、調査の意味を検討する計画である。日本女性運動や女性学の状況に知見の深い善積、意識調査の基づいた国際比較を行ってきた釜野が共同で本研究を行うことは不可欠であり、データ分析の設備や関連資料の整っている統計数理研究所をベースとして行うことがふさわしいと考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

Khor Diana

法政大学

善積 京子

追手門学院大学