平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−39

専門分類

5

研究課題名

変光星における非線形挙動の時系列解析

フリガナ

代表者氏名

ヤナギタ タツオ

柳田 達雄

ローマ字

所属機関

北海道大学

所属部局

電子科学研究所

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

変光星の光度の不規則変動を非線形力学系として捉える動きがあるが、データの量・質ともに不十分であり明確な結果は得られていなかった。近年の観測技術の進歩により短周期の変光星に関するデータが蓄積されてきた。本研究は(1)変光データからアトラクターの次元を求め、脈動型変光星が決定論的カオスとして捉えることができるかを検証する(2)光度変化の時系列から統計手法を用いてまだ解析が行われていない変光星の変動特性を調べることを目的とする。


変光星はその物理的要因によってさまざまな挙動を示す。近年、これらの挙動を非線形力学系として捉える動きがあるが明確な結果は得られていない。本研究は変光星の非線形挙動を力学系として捉えられるか否かを検証するとともに、光度変化の時系列から統計手法を用いて種々の変光星の特性を調べることを目的とする。
ここでは特に脈動型変光星の光度データから相関次元を算出する事により変動が少数自由度の力学系に従っているか否かを判定した。それにより、周期的な時間構造と不規則運動の和として変光をとらえることが出来た。
しかしながらより定量的な層間次元などの推定は現在得られているデータからはできなかった。このことはデータが不十分であることを示唆するとともに、少数自由度のカオスとしてとらえられない可能性があることを物語っている。
一方、変光星の光度変化は恒星表面の平均場として得られるため時間空間カオスを何らかの意味で平均して得られたものであるからだと考えられるため、時空カオスが空間平均された系として脈動型変光星をとらえる必要があることを示しており、今後の課題である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

8年度に引き続き、本年度は力学系を用いたノイズの除去法を用いてデータから力学系の再構築を目指す。今まで扱ってきた脈動型変光星に加えてより多くの不規則型などの変光星に対しても力学系の手法を用いたアトラクターの再構築を目指す。さらに、当研究所の尾崎教授により統計的手法を用いたカオスの検定が試みられてが、この手法を用いた解析も行う予定である。力学的なアプローチとともに確率モデルを用いた解析に進める。この時、統計的手法が必要とされ共同研究することにより効率的な解析が期待される。特に、佐藤・西城氏らによるZZPsc星の光電測光データは、離散値、離散時間のデータであり、日周運動による高度変化のためトレンドを含む。このようなデータから周期的成分のみを取り出し、変動が多重周期であるか否かの検討を行う。この時、当研究所で開発された統計モデルが有効になると思われる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

西城 恵一

国立科学博物館

佐藤 英男

東京大学