平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−57

専門分類

7

研究課題名

循環器疾患のリスク要因に関するコホート研究

フリガナ

代表者氏名

タカギ ヒロフミ

高木 廣文

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

高齢化が進む中で、循環器内科の臨床の場では、従来から言われている発生リスクの対策はある程度浸透しているにもかかわらず、動脈脈硬化性疾患の増加が大きな問題になっている。本研究は、三重県内の特定地域を研究対象地域とし、当該地域の成人住民について、長期コホート研究を実施し、循環器疾患発生要因を疫学的に明らかにすることを目的とする。


三重県度会郡南勢町住民を対象としたコホート研究は,前年同様に継続実施中であるが,本年度は主に生活習慣調査に用いる尺度項目の検討を中心に行った。とくに,生活習慣尺度を改定した影響を検討するために,1994〜1996年に全国の29都道府県115地域・施設で収集した約6万5千人の調査データを用いて男性の職業による生活習慣の相違を検討した。
専門的・技術的職業従事者(P群)の平均年齢は48.7歳,標準偏差5.4歳であり,農林漁業従事者(A群)は各50.8歳,5.9歳で,2歳ほど高齢となっていた。現喫煙はP群59.5%,A群58.8%,また既喫煙は20.0%と18.0%と大差なかった。しかし,飲酒は「ほぼ毎日」がP群58.9%,A群51.1%とP群で有意に高率であった。
生活習慣尺度は,社会奉仕,伝統型,疾病頻度,多愁訴の4尺度の平均得点で2群間に有意差が認められなかったが,残り18尺度で5%水準で有意差が認められた。洋風の食事尺度の平均得点はP群4.6,A群3.9,娯楽尺度は5.0と4.4,健康情報は4.4と4.0,清潔は8.5と8.1,そして運動実施は3.5と2.7,妻主導型は6.2と5.7となり,これらはP群で有意に高得点であった。逆に,義理人情尺度の平均得点はP群8.0,A群8.4,経済型は6.9と7.3となり,A群で有意に高得点であった。
専門的・技術的職業従事者は健康情報の収集や運動などは行うが,農林漁業従事者に比べ飲酒の傾向が高く,いくつかの既往症もやや高率の傾向が認められた。しかし,自分の健康状態の認識については農林漁業従事者と大差がなく,悪習慣による不健康意識は強くないものと考えられた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

コホート集団として、三重県度会郡南勢町在住の成人健康者を対象とする。調査期間は平成5年4月1日から平成18年3月31日までの13年間を予定している。循環器系疾患の死亡率や発生率をもとに、統計学的に適当な検出力で同定できる標本数から、具体的な対象者を設定し、質問紙に含める検討項目の設定と数量化、また身体状況や血液検査項目などの臨床調査項目の設定など疫学調査として適当な調査デザイン作成を行い、平成5年8月に第1回目の調査を実施した。既存の循環器系疾患のリスクの知見とともに、近年の生物統計学の知見が必要である。平成9年度まで同様な調査を実施し、ベースラインデータの収集を行った。予定よりベースラインのデータ収集が遅れているので、平成10年度も同様な調査研究を継続する。統計学のみならず、地域医療の実践が不可欠であり、他施設との共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

垣本 斉

三重県度会郡南勢町立病院

国吉 幹夫

三重県度会郡南勢町立病院

佐藤 俊哉

統計数理研究所

中野 赳

三重大学

松村 康弘

厚生省国立健康・栄養研究所