平成142002)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

14−共研−1028

専門分類

6

研究課題名

複雑系現象の異常検出とモデル導出の時系列解析

フリガナ

代表者氏名

オカベ ヤスノリ

岡部 靖憲

ローマ字

OKABE YASUNORI

所属機関

東京大学

所属部局

大学院情報理工学系研究科

職  名

教授

所在地

TEL

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研究目的と成果(経過)の概要

研究目的:当該研究では,KM2O-ランジュヴァン方程式論に基づく時系列解析技術を地震データ,エルニーニ
ョ,気温等の自然現象とマネーサプライ,円の対ドルレート,株価等の経済現象の二つの複雑系現象に現れる
時系列データに適用し,それぞれの時系列データの時間発展を記述する非線形モデルを必要条件として導き,
そのモデルに付随する確率過程に対するオプションの価格付けの理論の建設を行う。さらに,定常性の検証の
応用として,上記の複雑系時系列データの異常検出の情報を事前に取り出す解析技術を開発する。
研究成果:時系列データの異常性を定常性の破れと定義して,KM2O-ランジュヴァン方程式論に基づく時
系列データの定常性の検証Test(S)と離散時間の確率過程の非線形情報空間に付随する多項式型の生
成系を用いて,時系列データの異常性の兆候を検出する異常性の検出Test(ABN)を提唱した。特に,経
済現象における株価の異常性を示す恐慌(ブラックマンディ・アジア危機・ITバブル)に適用して,
Test(ABN)が有効であることを実証した論文を[1]に発表した。さらに、地震波にTest(ABN)を施すこ
とによって、P波・S波の到達時刻の推定とそれ以前の前兆を捉えることができた。深部低周波地震波
に対しては、決定性の検証であるTest(D)を施すことによって、通常の地震波にはみられない特徴を捉
えた。これは現在、松浦助手と武尾教授と論文をまとめている。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

文献
[1]Yasunori Okabe,Masaya Matsuura and Maciej Klimek,On a method for detecting certain signs
of stock market crashesby non-linear stationarity tests,International Journal of Pure and
Applied Mathematics,Vol.3,No.4,2002,443-484.
[2]M.Klimek,E.Karlson,M.Matsuura and Y.Okabe,A geometric proof of the
fluctuation-dissipation theorem for the KM2O-Langevin equations,Hokkaido Math.J.,31(2002),
615-628.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

植田 寛子

東京大学

武尾 実

東京大学

松浦 真也

東京大学