平成252013)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

25−共研−1016

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

子どもの社会性に関する発達行動遺伝学的研究

フリガナ

代表者氏名

サカイ アツシ

酒井 厚

ローマ字

SAKAI ATSUSHI

所属機関

山梨大学

所属部局

教育人間科学部

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は、幼児期の子どもがいる家庭を対象とした縦断研究を実施し、家庭ー教育機関(園・学校)ー地域の相互関係性やそれぞれのあり方が、幼稚園期からの子どもの社会性の発達にどのように影響するのか、子どもの個人的特性(気質・遺伝・問題行動の萌芽的形態)との相互作用を含めて検討していくことであった。
平成25年度では主に、対象児が2歳と3歳時点のデータを用いて解析を実施した。第1の研究は、両時点による縦断データを用いて、親によるきょうだいそれぞれへの関わり方の違いやきょうだい関係の質が、子どもの社会性の発達にどのように影響するかを検討することであった。共分散構造分析による交差遅延効果モデルに基づき検討したところ、対象児が2歳時点でのきょうだい間の信頼関係が高いほど、3歳時点での子どもの社会性得点が高くなるという結果が認められた。一方で、親がきょうだい2人を同じように養育しようとするかどうかと、子どもの社会性との間には直接的な関連は見られなかった。第2の研究は、2歳と3歳時点における子どもの仲間ネットワークの構造と社会性との関連について検討することであった。仲間ネットワークの構造として、メンバーである仲間数を表す規模、メンバーとの付き合いの持続性、メンバーとの親密性の3つの観点から検討したところ、2歳と3歳の両方において、ネットワークの規模あるいは親密性の高い群が低い群に比べて社会性得点が高いことが示された。第3の研究は、3歳児と上のきょうだい(平均年齢は6歳)を対象に実施した生態学的な家庭観察調査であり、親のきょうだいによる関わり方の違いが、子どもの達成動機(課題への取り組み持続性)や自己評価的感情とどのように関わるかを検討した。主な結果として、親の関わり方が同質であっても、きょうだいによって表出される行動や自己評価が異なり、両者の違いにはきょうだいそれぞれの気質の違いやきょうだい間の関係性が関わることが示唆された。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.前川浩子・酒井厚・眞榮城和美・則定百合子・上長然・梅崎高行・田仲由佳・酒井彩子
 子ども期の社会性の発達に関する縦断研究プロジェクト(4) きょうだいに対する親の 養育態度の違いと子どもの対人関係能力との関連 日本発達心理学会第25回大会発表論文集,259,2014年3月,京都大学

2.眞榮城和美・前川浩子・則定百合子・酒井彩子・上長然・梅崎高行・田中由佳・酒井厚
 子どもの期の社会性の発達に関する縦断研究プロジェクト(5) 親子相互作用に見るきょうだい環境と子どもの自己感の発達 日本発達心理学会第25回大会発表論文集,260,2014年3月,京都大学

3.眞榮城和美・酒井彩子・上長然・田仲由佳・前川浩子・松本聡子・則定百合子・梅崎高行・高橋英児・酒井厚
 親子の相互作用に関する観察評定マニュアル日本語版の作成ー親の評価的フィードバックと子どもの自尊感情の関連からー,清泉女学院大学人間学部紀要,11,49-58.

4.酒井厚 
 幼児期前期の子どもの友だちネットワークと社会性との関連,チャイルドサイエンス,10,11-15.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

開催しなかった。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾崎 幸謙

筑波大学