平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−29

専門分類

3

研究課題名

分散型システムのモデル化と適応制御

フリガナ

代表者氏名

オオマツ シゲル

大松 繁

ローマ字

所属機関

大阪府立大学

所属部局

工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

システムの大規模化、複雑化に伴い、部分的な故障に対してもロバストな制御系設計理論が求められている。本研究では耐故障性を有すると期待される分散型適応制御のモデル化、および、数理モデルに基づく制御性能の解析を様々な角度から行うことを目的とする。


いくつかのサブシステムが干渉を介して相互に結合したシステムに対する分散型適応制御系を提案し、その安定性と耐故障性を解析した。
まず、耐故障性を解析するために、1次系で表されるサブシステムと安定な動的要素として表される干渉とからなる分散型システムのモデルを与えた。このモデルの特徴は、ある種の故障に対して構造が不変であるということである。すなわち、ローカルなセンサーやアクチュエータが故障した場合、そのサブシステムの制御入力が0になると仮定すると、補償器が故障したサブシステムはもはやサブシステムとはモデル化されず、干渉の一部としてモデル化される。そのとき、故障したサブシステムがもともと安定ならばそれを含む干渉は安定な動的要素として表されるため、提案しているモデルの構造は不変である。
次に、この分散モデルに基づく適応制御系を構成し、安定性を証明した。この分散型適応制御においては、適応パラメータは各サブシステムのフィードバックゲインであり、実際的な要求を考慮して、σ- 修正法を用いることにより、なるべく小さなフィードバックゲインで小さな出力誤差が得られるようにした。
提案した分散モデルはある種の故障に対して不変であり、そのモデルに基づく適応制御系の安定性を証明しているので、提案した分散型適応制御系は耐故障性を持つことが示された。
本研究ではさらにこの結果を、各サブシステムが多入出力系で表される場合、および、実用上重要と思われる定値制御を目的とするサーボ系構成に拡張した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Kenji IKEDA . Seiichi SHIN . Toshiyuki KITAMORI, Fault Tolerance of Decentralized Adaptive Control, Proceedings of the International Symposium on Autonomous Decentralized Systems, Kawasaki, March, 1993, pp.275-281.

池田・新・北森,耐故障性を考慮した分散型適応制御,第36回システム制御情報学会研究発表講演会,1992.5/21.
池田・新・北森,多変数自律分散適応制御のロバスト性,第13回適応制御シンポジウム,1993.1/28.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

耐故障性を考慮した分散型適応制御の研究は、まだ始まったばかりで、安定論に基づく定性的な解析が行われているだけである。可調節パラメータの最適な選び方などの定量的な解析はまだ行われていない。制御系設計理論としては、確率外乱が存在する場合の外乱制御性能などを考慮した補償器の設計方法を与える必要がある。
確率的なシステムのモデル化および最適化に関して、統計数理研究所には共同研究者の宮里氏をはじめとして多数の著名な研究者が居り、この共同研究によって、安定論、ロバスト制御、最適制御など様々な立場から考察できることが期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

池田 建司

徳島大学

河辺 徹

徳島大学

宮里 義彦

統計数理研究所

宮本 定明

徳島大学