平成222010)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

22−共研−4208

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

6

研究課題名

法廷言語コーパスによる裁判員裁判の計量言語学的分析

重点テーマ

言語と統計

フリガナ

代表者氏名

ホッタ シュウゴ

堀田 秀吾

ローマ字

Syugo Hotta

所属機関

明治大学

所属部局

法学部

職  名

准教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究は、裁判員裁判における様々な言語使用に関して、裁判所・検察庁・弁護士会による合同模擬裁判や実際の裁判記録をもとに法廷における言語使用のコーパスを作成し、言語学や心理学の知見を融合して裁判における言語コミュニケーションを統計的に分析・評価モデルを開発することによって公正な裁判に影響を与えうる種々の顕在的・潜在的問題を実証的に明らかにすることを目的としていた。具体的には、?評議参加者の使用語彙に関して、多重比較、対応分析等の初歩的な統計的分析や模擬法廷における実験を統数研の物的・知的リソースを利用することによって精緻化し、?裁判員と裁判官の判断に影響を与える要因について、法廷での言語コミュニケーションをコーパス化したものや実験などを通して、様々な統計的手法を応用しながら特定していくことが目的であった。
 これらの目的を達成するにあたり、数度にわたる打ち合わせや共同作業を行った。そして、目的はおおむね達成したと考えられる。より具体的には、?については、堀田・藤田が模擬裁判のコーパスと裁判員制度施行前後の判決文のコーパスを構築し、比較することによって法曹と一般人の使用語彙の差異や使用語彙の差異からみられる感覚や思考パターンの差異の抽出を試みた。?については、中村が外国人を被告人とした模擬裁判を行い、そこに見られる言語的要因および非言語的要因がどのように判断に影響するかをWebを利用した実験を行った。さらに、藤田・堀田が合議体の成員間で(言語によって)与えられた情報量に差がある場合に、どのような議論のダイナミクスの差異および判断への差異があるかを調査した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

<論文>
1) 堀田秀吾・藤田政博
「裁判員裁判の判決文の統計を使った分析: 判決文に含まれた市民感覚を探る」
統計数理研究所リポート266 1-28頁, 2011
2) 藤田政博・堀田秀吾
「評議における情報格差の影響についての実験研究の分析について」
統計数理研究所リポート266 31-49頁, 2011
3) 中村幸子
「外国人刑事事件における人種ステレオタイプと操作された通訳の交互作用に関する一考察:
法廷実験の統計学的分析」
統計数理研究所リポート266 51-71頁, 2011

<学会発表>
堀田秀吾「判決文から見た裁判員裁判」 法と言語学会第二回年次大会、於・高崎経済大学2010年12月11日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

2010年12月27日 研究経過報告会・統計数理研究所(参加人数4人)
2011年2月9日 研究経過報告会・統計数理研究所(参加人数2人)
2011年3月24日 研究成果報告会・統計数理研究所、東京駅サテライトオフィス(参加人数3人)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

中村 幸子

愛知学院大学

藤田 政博

政策研究大学院大学