平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2031

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

地域森林資源のサプライチェーンマネジメントシステム構築

フリガナ

代表者氏名

タカタ カツヒコ

高田 克彦

ローマ字

Takata Katsuhiko

所属機関

秋田県立大学

所属部局

木材高度加工研究所

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

120千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

スギ資源のサプライチェーンマネージメントシステムの構築に向けて以下の研究を行った。
(1)森林資源の量的・質的情報収集方法の検討
 木材加工事業者が求める森林資源情報は、単に林地に存在する蓄積量ではなく、実際に伐採・搬出される原木の材積である。さらに、一般製材の加工事業者にとってはそれらの径級別、品質(曲り、内部欠点等)別の情報も非常に有益である。一方、このような要望に答えるためには既存の森林簿ベースの情報では不十分である。これらの要望に完全に応えるためには個々の林分において毎木調査を実施することが求められるが、現実的には全林分を対象とした毎木調査は実行不可能であり、それに代わる方法で情報を収集する必要がある。
 標準地調査は対象林分内に設置した100m2について立木状態での胸高直径、樹高、生存本数等を調査する手法で、木材加工事業者が求める最小限の情報を提供することが可能である。しかしながら、実際の調査を実施する際の100m2の設定の仕方によってはデータの精度に多大な影響を及ぼすことが予想される。そこで、100m2の設定の違いによってどの程度データ精度が損なわれるのかを検証した。
 能代市内の同一樹齢のスギ人工林において斜面方向に長い10mx50mの調査区を2カ所(調査区1、調査区2)設定して調査区内の毎木調査を実施した。調査区1と調査区2は約30m離れて設定した。両調査区はそれぞれ、斜面方向には5m毎に分割するとともに斜面垂直方向には4mと6mに分割して、調査区内に複数の10mx10m調査区と4mx25m調査区を設定した。
 調査区1において、立木本数は64本、平均胸高直径は26.9cm、平均樹高は14.1mであった。調査区2では、立木本数は85本、平均胸高直径は22.1cm、平均樹高は17.9mであった。調査区1と2は立木本数も大きく異なり、胸高直径及び樹高には統計的に有意な差異が認められた。
 調査区1において、10mx10m調査区では斜面上部の調査区ほど胸高直径が小さく、樹高が低いなる傾向が大きくなった。特に樹高に関しては、斜面最下部の調査区(20.1m)と斜面最上部の調査区(15.5m)との差が大きく、材積計算上、問題となることが予想された。一方、4mx25m調査区においても斜面上部の調査区ほど胸高直径が小さく、樹高が低いなる傾向が認められたが、その差は10mx10m調査区に比べて小さかった。例えば、樹高では斜面最下部の調査区(19.8m)と斜面最上部の調査区(16.3m)との差は3mで10mx10m調査区での差(4.6m)の65%程度となった。このような傾向は調査区2においても同様であった。
 これらの調査結果から100m2の標準調査区の設定については以下の点を注意すべきである。
1. 同一林分においても明らかに立木本数が異なるサイトが存在する場合、複数の調査区を設定して調査データの精度を保つ必要がある。複数の調査区を設定する必要性は、対象林分が数haの広さを持つ場合は特に大きくなる。
2. 斜面に調査区を設定する場合、斜面に沿って4mx25m調査区を設定することは調査データの精度を保つために役立つ。
3. 斜面に10mx10m調査区を設定する場合、斜面下部や斜面上部にのみ調査区を設定することは避け、可能なら斜面に沿って複数の調査区を設定することで調査データの精度を保つことができる。
(2)原木供給可能量、生産可能量及び将来需要量の推定モデルの開発
 秋田県能代市周辺地域の人工林に関して樹齢、蓄積量及び施業履歴、秋田県能代市周辺地域及び秋田市の木材加工事業体のスギ原木の利用形態及び利用量、及び秋田県能代市周辺地域の素材生産事業体の伐採実績について基礎データの収集した。現在、これらの収集データを用いて原木供給可能量、生産可能量及び将来需要量の推定モデルの開発中である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

当該研究に関して、現在、論文作成中である。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会の開催実績はない。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

川鍋 亜衣子

秋田県立大学

小林 慧

秋田県立大学

吉本 敦

統計数理研究所